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【おもちゃデジカメ クロニクル 22】マクセル WS30【機種編 12】

さて、今回はおもちゃデジカメを代表する製品、マクセルWS30を紹介します。

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おもちゃデジカメの流れを変えたWS30

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冒頭におもちゃデジカメを代表する製品と書きましたが、おもちゃと言うのは申し訳ないくらい良く出来た製品です。ただ、おもちゃという表現を使わないと、ただの低価格デジカメになってしまって、それはそれで申し訳ないことになります。おもちゃデジカメという表現を使うことで、その中におけるこのカメラの素晴らしさを語ることが出来ると思っています。

WS30以前の機種を見てみると、トミー・ミーシャ、高木産業・PDC-35/10、タカラ・スリムショット/Ⅱ/スティックショット、バンダイ・C@mail、ニチメン・Che-ez!など。まだ、10万画素が主流でした。そして高木産業・PDC-35以外は、見た目にもおもちゃっぽいし、そしてそれ以上に、電池がきれる(電池を抜く)と撮影した画像がなくなるという、デジカメとしては致命的な弱点を持っていました。

2000年9月、電池が切れても画像が消えないフラッシュメモリ搭載、35万画素、ストロボ搭載、コンパクトで軽量なボディーが特徴のWS30が発売されました。オープンプライスですが、実売価格は1万5000円程度になる見込みと報じられています。

カセットテープや乾電池を主力にしていたマクセルが、なぜデジカメを販売したのかわかりません。製品自体はマクセルが開発したものではなく、台湾のLargan社「Chameleon」のOEMとのことです。どういう経緯があったにしろ、この商品のインパクトは大きかったようで、ヒット商品になりました。

競争激化の2000年デジカメ市場でキヤノン「IXY DIGITAL」が首位に
競争激化の2000年デジカメ市場でキヤノン「IXY DIGITAL」が首位に 株式会社BCN(本社・東京都文京区、社

出典:BCNニュースリリース 2001.01.19

BCN総研による「2000年デジカメ売れ筋トップ20」の13位にランキングされています。ランクインしている他の商品が2000年前半もしくは1999年に販売開始されているのに対し、WS30は9月の発売でこの位置です。短期間で大きく売れたことがわかります。なお、おもちゃデジカメとしては、高木産業 PDC-35が11位、NHJ che-ez!が15位、バンダイ C@mailが17位、トミー Me:siaが19位にランキングされています。おもちゃデジカメが市場に受け入れられている様子が、よくわかります。

もちろん35万画素なので、当時主流の200~400万画素機と比べると画質やカメラの機能は劣ります。そういう意味で使えないと考えた人も多いようですが、値段と性能を考えればこれくらいで充分と考えた人も多いようです。当時の情熱が、今現在も残るホームページもあります。

WS30の世界

 いつまでも残しておきたい表情や風景をWS30/SLIMで撮る…すごく高画質ではなくても、記録には残してくれるのです。WS30/SLIMは「トイデジカメ」と呼ばれるジャンルのデジカメの中では、しっかりとした基本機能を備えています。低価格・ロースペックのトイデジカメだとバカにしないで、35万画素機で遊んでみましょう。新しい「写真の世界」が開けるかもしれません。

出典:WS30の世界

この「WS30の世界」というサイトでは、当時の「低価格・低解像度デジカメ」への熱い思いが語られています。そもそもカメラ業界は昔からスペック至上主義の方が多いので、当時の低価格・低解像度デジカメへの風当たりは強かったでしょう。それゆえの”おもちゃ”デジカメでもあるのですが。ただ、「WS30の世界」の作者の方は、写真の本質がわかっている方で、当時からこのように発信をされていることに尊敬の念をいだきます。

話はそれましたが、WS30以降、おもちゃデジカメの主流は30万画素機になり、各社それぞれ特徴を出した製品が作られてくるようになります。そういう意味において、おもちゃデジカメの中におけるWS30の存在はとても重要な位置にあるといえます。

WS30仕様

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  • 画像素子:35万画素CMOSイメージセンサー
  • 出力解像度と保存可能枚数:640×480 最大127枚
  • メモリ:内蔵8MBフラッシュメモリ
  • レンズ:マルチコート非球面レンズ F4.0 f=5.13mm(35mmフィルムカメラ換算35mm)
  • 撮影範囲:標準モード 0.6m~∞、マクロモード 0.2m
  • シャッター:電子シャッター、1~1/10,000秒
  • ファインダー:光学式、視野率85%(有効範囲)
  • ストロボ:ガイドナンバー 2.5 (ISO100・m)、有効範囲 0.8~3.0m 最適距離 1.8m
  • サイズ:86×56×26mm(幅×高さ×奥行き)突起部含まず
  • 重量:約80g(電池別)
  • 電源:単3型電池×2本(アルカリ、マンガン、ニッケル水素、ニカド電池使用可)
  • 付属品:USB ケーブル、ハンドストラップ、ソフトケース、CD-ROM、取扱説明書、クイックマニュアル、単3形アルカリ乾電池2本
  • 製造国:台湾
  • 販売価格:オープン 実売価格15,000円程度

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各部紹介

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レンズはマルチコート非球面レンズで、F4.0 f=5.13mm(35mmフィルムカメラ換算35mm) 。他のおもちゃデジカメに比べると、F値4.0は暗い。焦点距離は35mmフィルムカメラ換算35mmと、他のものより広角。

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WS30のロゴはちょっと遊び心あり。なお、付属のソフトケースにしまっていると、経年劣化により本体に汚れがついてしまいます。箱への収納が、ソフトケースに入れるかたちになるので、このようなことに。

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操作ボタンは本体上面右に集中してます。DSC ONが電源スイッチになるのですが、ちょっと押しづらいです。ストロボ発光スイッチはなくて、モード選択で行います。

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ファインダー下にLEDランプ。撮影準備中とマクロモードの表示です。

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右側に撮影モード選択スイッチとパソコン接続用のUSBタイプAコネクタ。

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三脚穴もあります。

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電池カバーを開けたところ。おもちゃデジカメでは珍しく、アルカリ乾電池以外の使用も可能です。カバー下にあるのは、ストラップ穴。

パソコン用ソフト

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パソコン用ソフトというよりも、TWAINドライバーです。グラフィックソフトで呼び出して、グラフィックソフトに転送するだけのものです。一括して保存する機能がないので、1枚ずつグラフィックソフトで名前をつけながら保存するしかありません。最大撮影枚数が127枚なので、まとめて取り込むとなると大変な作業です。

当時の方たちも大変と思ったのでしょう。フリーソフトで一括保存してくれるものが、存在します。

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「ws30 tool」というソフトです。このソフト単体では取り込みは出来ません。WS30のドライバーソフトをインストールしておく必要がありますので、ご注意を。自動階調補正などの機能もあります。試したところ、うまく転送されない画像が何枚か発生しました。

ws30Toolの詳細情報 : Vector ソフトを探す!
デジタルカメラws30用画像連続取り込みユーティリティ

WS30のドライバーはwindows98・98SEに対応。推奨環境はメモリ32MB以上、ハードディスク65MB以上の空き容量が必要です。

ドライバーも「ws30 tool」も、Windows7で問題なく認識しました。Windows10は試していません。

実写画像

標準モードで撮影して、アドビ フォトショップ エレメンツ1.0でWS30ドライバー経由で取り込みました。特に画像処理は行わず、高画質でJPG保存しています。

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本体保存時の圧縮率が高いようで、青空部分にJPG特有のブロックノイズが見られます。今から見ると、明らかに圧縮しすぎの印象。画質としては、che-ez!SPYZやiX-1の方が素直で良いですね。

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ラチチュードは狭いので、日陰と日向の部分があると、やはり白飛びしてしまいます。なお、順光で撮影しています。

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右側のトタンの壁がモアレというか、偽色というかスゴいことになってます。

最後にマクロモードでの撮影。20cmくらいを目安に撮影しています。

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写真といって良いのか、後の方が絵画みたいになってます。草木はやはり苦手ですね。

まとめとリンク

以上、マクセルWS30の紹介でした。

撮影枚数を多くするために圧縮しすぎで、画質に関してはちょっと厳しいですが、コンパクトで軽量、電池が切れても画像がなくならないなど、おもちゃデジカメの中では扱いやすい機種です。また、他のおもちゃデジカメに比べ、画角が広い(35ミリ版換算35mm相当)のでスナップ写真には向いていると思います。

マクセル、USB接続の軽量デジタルカメラ発表(Ascii.jp 2000.9.6)
マクセル、小型・軽量の35万画素デジタルカメラ(ケータイ WATCH 2000.9.6)

おもちゃデジカメ クロニクル 目次
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