さて、本日はオススメのヘルメットの話です。
まず結論から書きますと、メガネサイクリストにはシールド付きヘルメットがオススメということです。タイトルそのままなんですけど。これは自転車で日本一周した経験から導き出されたものですが、自転車ツーリングのみならず、通勤・通学で自転車を利用する人にも参考になるはずです。
私が自転車日本一周で利用したのは、GVRという台湾メーカーのG-306Vというヘルメットです。
こちらは残念ながら生産中止になってしまったので、このモデルに関しては特に触れません。シールド付きヘルメットの有用性について述べたいと思います。
シールド付きヘルメットを使うメリット
まずはシールド付きヘルメットのメリットです。
- サングラス替わりになる
- 雨風や虫に対しての防御
- 雨のときでも視界が確保できる
- シールドを上向きにして使わないことも可能
サングラス替わりになる
もともと日本一周でシールド付きヘルメットを利用しようと思ったのは、サングラスとしての機能を使いたかったからです。極度の近視でメガネ利用者の私には、度付きのサングラスは値段が高いし、自転車を降りて観光するときなどに不便かなと。いちいち眼鏡と度付きサングラスを付け替えるのも面倒ですし。それならオートバイのヘルメットのように、スモークシールドが付いたヘルメットを使えば良いじゃないかと思ったのが始まりです。
しかし実際に日本一周で使うとなると、トンネルや日が暮れてきた時にはやっぱりスモークシールドだと不安かなとも思い、旅にはクリアシールドを利用することにしました。日帰りツーリングや通勤・通学でならサングラス代わりのスモークシールドも良いと思います。
また、最近ではOGK KabutoからARS-3 シールドのクリア調光という、周囲の明るさに反応して可視光線透過率が変化するシールドがあります。↓のサイトが詳しいです。
ちょっと値段が高いですが、これなら日差しが強いときにはサングラス替わりに、暗いところではシールド機能のみ利用することが可能。長期ツーリングされる方には、予算が許せば良い選択かもしれません(もちろんヘルメットはOGK Kabutoの対応するものを選ぶ必要があります)。
雨風や虫に対しての防御
シールド付きヘルメットで一番良かったと思ったのは、雨と風、そして虫に対しての防御になったことです。200日に渡る自転車日本一周の期間中、雨の中を走ることも多々ありました。雨粒が顔に当たると結構痛いのです。また、風の強い日や峠での下りにおいては、メガネを掛けているとはいえ、風が目に染みます。これらもシールドがあれば、ある程度防ぐことができます。
そして河川敷などでは、虫がバシバシ顔に当たってきます。これもシールドがあれば防いでくれます。一度コガネムシみたいなのが、シールドにゴツンとあたったことがありました。あの時は本当にシールドがあって良かったと思いました。
雨のときでも視界が確保できる
メガネを掛けて雨の中を走ると、眼鏡にはすぐに水滴が付き視界が悪くなります。周囲が見えなくなるのは、はっきりいって恐いです。かといって、つどつど自転車を止め、メガネを拭くことも出来ません。拭いたとしても、またすぐに濡れてしまい意味が無いのです。
しかし、シールドがあるとそれなりに水滴は流れ視界を確保してくれます。少しは見えにくくなりますが、メガネに直接水滴がつくよりは遥かにマシです。
そして、ある程度水滴が付いたときは、タオルやハンカチで拭けばよいわけです。これは走りながらでも拭くことが出来ます。信号が多い道であれば、信号でストップするごとに拭けば良いくらいです。
このヘルメットを使うまでは、小雨程度以外の雨の時はほとんど走ることはありませんでした。とにかくメガネが濡れてしまって視界が悪くなり、非常に危険を感じていたからです。でもシールド付きヘルメットを使うことで、それからは開放されました。
本当はできるだけ雨の中は走りたくはありません。でも、日本一周中はどうしても走らなければならないという時もありました。そんな時でもシールドがついていれば、なんとか走れたのです。
ただ、やはり激しい雨の時は、シールドの前面だけでなく、裏側も濡れてしまいました。これはヘルメットとシールドに隙間があるため、そこから水滴がたれてくるためです。これはもう構造上どうしようもありません。裏側が濡れた時は自転車を止め、シールドを外し拭いていました。
一度、むちゃくちゃ激しい雨の中を走ったことがありました。この時はヘルメットからの水滴が激しいので、ヘルメットに手ぬぐいを巻き、水滴が落ちるのを防ぐということをしました。かっこ悪いですけど、こうすることである程度は防ぐことも出来ました。
とにかくメガネを掛けている人が雨の中を走る時は、ヘルメットにシールドがあれば、かなり安心して走ることが出来るのです。このメリットだけでも、シールド付きヘルメットをオススメする理由になります。
シールドを上向きにして使わないことも可能
ほとんどのヘルメットシールドは磁石でくっつける方式となってます。使わない時はシールドを上向きにしておくことが出来るのです。私もシールドを付けると視界に若干違和感を感じるので、普段は上向きにしていました。シールド付きヘルメットながら、シールドを使っていなかったわけです。
で急に雨が降ってきたり峠の下りなどでは、走りながらシールドを下向きに装備します。最初は慣れなくて、これに失敗してシールドを落とすことが2回ほどありましたが、すぐに慣れました。シールドはついていても、使いたくない時は使わなくてもよいのです。風が気持ちいいって時もありますから。
シールド付きヘルメットのデメリット
デメリットは何かあるかなと考えたのですが、使用上に関してはないのかなと思います。もし、ロードレースで使うというのであれば、空力がとか通気性がとかあるかもしれないですが、旅行や通勤に使うにはデメリットはないかなと。
あえて言うなら選択肢が少ないということ。デザインや色、値段の選択肢が圧倒的に少ないです。もう一つ、眼鏡がずれた時に直しにくいということ。それくらいではないでしょうか。
ただし、メガネを掛けたままシールドが使えるかどうか、実際にかぶってみないとわからないという部分があります。特にメガネのフレームが大きいものを利用している人は、試着した上で購入するのが良いと思います。amazonなどのレビュー記事などもチェックしましょう。
シールド付きのヘルメットにはどんなものがあるか
デメリットにも書きましたが、自転車用のシールド付きヘルメットというのはそれほど種類がありません。2022年3月4日の時点で、どのようなものがあるのか調べてみました。購入時の参考にしてください。
OGK VITT
OGK kabutoがこれからのスタンダードスタイルと称する、シールド付きヘルメット。中華製ヘルメットより値段は高いですが、日本メーカーによる日本人向けの製品で、安心感は1番でしょう。取扱店舗も多いので、お店で試してから買えるのもメリットです。
安全規格はJCF日本自転車競技連盟公認です。
シールドは「ARS-3シールド」が利用でき、調光シールドもあります(付属はAR-3)。
OGK AERO-R2
2022年春、R1からR2にモデルチェンジ。VITTに比べると、空力性能や快適性が向上しています。日本人の頭部形状にあわせた設計、JCF公認、補修パーツもしっかりあります。
R2には、R2TRがありますが、マグネットバックル採用した、トライアスロンに特化したモデル。
OGK REZZA-2
OGKからはもうひとつ。2020年4月発売になった、REZZA-2がオプションとしてシールド対応になっています。別途、「シールドアタッチメント-01」とシールド(AR-5およびARS-3が対応)を購入する必要があります。
定価ベースで考えるとアタッチメントが1,000円、一番安いAR-5スモークシールドが2,500円なので、ヘルメットとあわせてVITT よりほんのちょっと安いくらいです。デザインでこちらを選ぶのもありかもしれません。また、着脱可能なフロントバイザーが付属しているのもポイント(シールドと併用不可)。
安全規格はJCF日本自転車競技連盟公認です。
LAZER BULLET2.0 AF
LAZERはベルギーのブランド。日本でもヘルメットブランドとしては、馴染み深いかもしれません。こちらのモデルはシールドに加え、LEDリアライトも搭載されています。
JCF公認とCE規格をクリアしています。
BBB BHE-56F
BBBはオランダのブランド。自転車パーツやツールなんかもたくさん販売しているメーカーです。こちらのヘルメットのシールドはマグネット着脱ではないタイプ。オートバイのヘルメットのような方式です。
安全規格に関しては表記はありません。
uvex finale visor
uvex(ウベックス)はドイツのブランド。ウインタースポーツ用のヘルメットなども作っています。
こちらのヘルメットのシールドも、マグネット着脱ではないタイプでオートバイのヘルメットのような方式です。LEDリアライトも搭載されています。
安全規格はCEのEN1078をクリアしているようです。
KASK LIFESTYLE
KASKはイタリアのブランド。ロードレースでヘルメットが使われるようになる前に使われていたカスクは、Casque(フランス語、かぶと・ヘルメットの意)でこのブランドとは関係がないようです。
アーバン用ということで、通気性はあまり良くなさそうです。こちらのヘルメットのシールドも、マグネット着脱ではないタイプでオートバイのヘルメットのような方式です。
安全規格はCEのEN1078をクリアしているようです。
GIRO VANQUISH MIPS アジアンフィット
GIROには以前、「AIR ATTACK SHIELD」という商品もあったのですが、現在、販売されているシールド付きヘルメットはこちらのみです。日本向けの製品は、アジアンフィットということで、左右の幅をワイドに設計し、日本人にフィットしやすい形状になっています。購入時はアジアンフィットモデル(商品名にAFがつく)かどうか確認が必要です。
デザイン的に派手さはなくて、普段使いにも良さそう。MIPSという多方向衝撃保護システムを搭載していて、安全性に関しては文句なし。ネックはやはり値段です。
ROCKBROS TT-16
メーカーHPは無いものの、facebookに公式アカウントがあります。姫路に会社あるみたいですが、日本で企画されたものなのか、中華製をただ仕入れているだけなのかは不明です。
こちらのモデルはシールドとバイザーが併用できるタイプ。
amazonよりも楽天の公式ショップのほうが商品写真が詳しく載っています。モデルがかぶっている写真を見ると、シールドと顔の距離が近いので、メガネをかけたままだと使えない可能性があります(amazonのレビューに報告あり)。
Shinmax 069式ヘルメット
アマゾンで検索するとたくさん出てくる、中華製ヘルメットのひとつ。LEDテールライト付き。
CPSC/CE/CPC認定済みとのことです。
Shinmax SM-T88
Shinmaxはたくさんのシールド付きヘルメットを販売しています。こちらのモデルはデザインが比較的おとなし目のものです。
こちらもCPSC/CE/CPC認定済みとのことです。
Shinmaxはこれ以外にも、たくさんありすぎて何がどう違うのかよくわかりません。
VICTGOAL VG103
こちらも中華製ヘルメットです。LEDテールライト付き。CPSCおよびCE.EN1078に準拠とのことです。
中華製低価格ヘルメットについて
中華製ヘルメットは値段的には魅力です。以前は安全規格について言及されていないものが多かったのですが、近年ではCPSCやCEに準拠しているものが多いようです。ただ、どこまで信用してよいものか、と思います。メーカーのHPすら無いブランドをどこまで信頼できるかです。
ヘルメットは万が一に備えてかぶるものですので、信頼性のないものは何かあったときは怖いので、私はオススメしません。なお、中華製低価格ヘルメットはJCF公認ではないので、ロードレースでは使用できません(使う人はいないと思いますが、念のため)。
以上、シールド付きヘルメットを調べてみました。
まとめ
比較的低価格で作りもしっかりしていたGVRのヘルメットがなくなり、GIROのAIR ATTACK SHIELD、BELLのAnnex Shieldも生産終了となりました。海外ではシールド付ヘルメットの需要は少ないのでしょうか。それにひきかえ日本のOGKはVITTをこれからのスタンダードと称し、R1の後継にR2、オプションながらREZZA-2と競技用ではないモデルを増やしております。
やはりオススメとしてはOGKのVITTでしょう。多くの自転車店で扱っているので試着も出来ますし、日本メーカーで安全性も問題はないでしょう。
ROCKBROSやShinmaxのものなど、アメリカCPSC認証などを取得しているようですが、やはりメーカーとして信頼性が無い分不安ですね。しっかりとしたHPなどがあれば安心できるのですが。
ただ、例えモノが良くてもヘルメットはかぶってみないと、自分にとって良いか悪いかの判断がつかないものです。特にサイズ選びは重要です。できるだけ実際にかぶって選ぶのがオススメです。ネットで購入する場合は、そのあたりを理解した上で購入しましょう。購入したもののフィット感がいまいちということもあり得ます。また眼鏡を利用する場合は、眼鏡の形状によってシールドにあたる可能性があるので、注意が必要です。
そういうこともあるので、自転車店での取扱の多いOGKのヘルメットは、試着して購入出来る可能性が高く安心して購入できそうです。