もし、あなたがある日、自転車で日本一周をしてみたいと思ったとしたら、どのように進めていけば良いのでしょうか? この【自転車日本一周のためのガイド 】では、過去に自転車日本一周をおこなったサイト管理人が、自身の経験を活かして、計画の進め方や準備するものを解説していきます。
第11回目は日本一周用の服装について考えます。
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準備 7 日本一周用の服装
日本一周に何を着ていこうと、そんなものはその人の自由です。ただ日本一周旅を経験した人間からの、ちょっとしたアドバイスくらいに考えておいていただければと思います。
自転車に乗るのに適した服
ロードバイクに乗っている人の服を見てみると、カラフルなサイクルジャージに、ぴっちりパンツが一般的です。風の抵抗もなく動きやすい、このスタイルが自転車に乗るには最適なのは確かでしょう。しかし、自転車を降りれば…
自転車日本一周において、サイクルウェアを着て走っている人は少数派です。わりとみなさん普通の服を着ています。元からロードバイクに乗っていた人が少数派だからかもしれません。慣れない人にとっては、あのピッチリした服装はやはり抵抗があると思います。おまけに派手ですし。
それではどのような服が自転車に乗るのにむいているのでしょうか。サイクルウェアの特徴から考えると、動きやすいこと、風の抵抗を受けにくいこと、汗を吸って乾きやすいことあたりでしょうか。
要はダブダブでは無い、柔らかくて、吸汗速乾性を持った素材の服を選べば良さそうです。日本一周の服装にお金をかけられない場合は、これらの特徴をもった今ある服を利用すれば良いと思います。
以下は、私の経験からくる、服を選ぶポイントを記します。
Tシャツ
すでに持っているTシャツでも良いですが、この際、機能性を持ったものを購入するのも良いでしょう。北海道以外での7~9月の上着は、これで大丈夫でしょう。
選ぶポイントは吸汗速乾素材を使っていること。綿だと汗が乾きにくいですし、洗濯したあとも乾きにくいので、自転車旅にはやや不利です。ユニクロ、GU、ワークマンなどで販売されている、ドライの名のつくものを選ぶと良いでしょう。
もっと高機能なものというと、モンベルのウイックロン素材のものなど、アウトドアブランドからたくさん販売されています。 良い素材のものは、より快適になってくるので、予算が許すならそういうものを選ぶのも良いでしょう。自転車系で無く、登山系の記事を読めば参考になるはずです。
フィット感は好みで選べば良いですが、あまりにもダボダボだと風でバタつきますので、避けた方が良いでしょう。
私の場合は、Tシャツでは無くサイクルジャージを利用していました。amazonなどで販売されている安いもので、派手なデザインでは無い地味なものを選んでいました。
サイクルジャージのメリットは、吸汗速乾はもちろん、後ろにポケットがあることです。これが意外と便利です。また、フルジップだと、狭いテントの中でも脱ぎ着するのに便利ですし、暑い時は少しジッパーを開けて風を取り込むことが出来ます。本格的なサイクルジャージだと体のラインにぴったりしたものが多いのですが、amazonで売られているものには少しゆったりとしたフィット感のものもあります。
また、最近はワークマンでもサイクルシャツを販売しています。前開きでは無いですが、後にポケットのあるシャツです。最近のワークマン商品はすぐに品切れになるのでオススメできませんが、安い値段でそれなりの機能を持っているので、見かければ買いかもしれません。もうひとつ、スポーツチェーン店のアルペングループが展開するTIGORAブランドが、おとなしめのデザインで比較的手に入りやすい価格のサイクルジャージを販売しています。
長袖シャツ
私はサイクルジャージだけでは寒くなってくると、長袖シャツをインナーに着込んでいました。あまりこんなスタイルの人はいないので、ごく少数派です。上に着るのでは無く、下に着るのはサイクルジャージのポケットを活かすためで、こちらも吸汗速乾性とコンプレッション性を持ったものを選んでいました。ワークマンやホームセンターで安く販売されています。
コンプレッションウェアの機能については、意味があるのかわかりませんが、インナーに着る分には圧迫感が心地よく感じます。
サイクルジャージの上に直接ウインドブレーカーを着るのでも良いのですが、腕のあたりが汗でベトベトするのが嫌で、こういうスタイルに行き着きました。日本一周時の4月の四国、5月の東北、7月の北海道、10月の九州、お遍路した10月の四国はこのスタイルが多かったです。
ウインドブレーカー
ちょっと寒くなってきた時や、峠のくだりでの汗冷えを防ぐのにウインドブレーカーはオススメです。
私が日本一周で利用したウインドブレーカーは2種類。自転車用のものと、西友で買った安いウインドブレーカーです。なぜウインドブレーカーを2種類用意したのか。
スタートした時に使っていたのは、西友のウインドブレーカーでした。正確にはパーカーといったほうがも良いかもしれません。風を防いでくれるのは良いのですが、これを着ると暑い。防風だけで無く、防寒の用途もあるウインドブレーカーといえるでしょう。寒いからウインドブレーカーを着たいのでは無く、風を防ぎたいから着るわけですから、これではダメだと思い購入したのが、モンベルの自転車用のウインドブレーカー。
こちらは自転車用だけあって、脇部分と背面がメッシュ地になっていて蒸れにくく、撥水性もあり、ポケッタブル仕様で収納時にはかさばらないと、非常に使い勝手が良いものです。
日本一周においては、4月の四国と10月の九州は西友ウインドブレーカー、5~6月の北陸・東北・北海道はモンベルのウインドブレーカーを利用しました。日本一周後も、モンベルのウインドブレーカーは頻繁に利用。西友のものは利用しなくなり、防風防寒用途としてはレインウェアを利用することにしています。
ダウンジャケット
6月の北海道などでは急に寒くなることがあるので、ダウンジャケットがあると便利です。また北海道に限らず、春や秋の朝晩は冷え込むことがあるので、長期旅には必須といって良いかもしれません。
ダウンジャケットも色々なメーカーからでていますが、オススメはユニクロのウルトラライトダウンです。
それなりの性能でダウンジャケットとしてはお手頃な価格です。アウトドアブランドのダウンジャケットには、機能的にもっと良いものがありますが、お値段もそれなりに良くなってきますので、登山するなら別ですがユニクロのもので大丈夫だと思います。
なお、ダウンをオススメするのは、収納時にコンパクトになるからです。ワークマンで販売されているエアロストレッチなどは、中綿にポリエステルを使っていて、収納時にそれほどコンパクトにはなりません。
ズボン
1番迷走したのがズボンです。自転車日本一周を終えて私の結論は、「後ろポケットがある、ショートパンツ、速乾性」が重要ということになりました。「後ろポケットがある」に関しては、完全に私の好みです。
出発前に考えたこととしては、まずピッチリしたサイクルパンツ(レーパン)は、自転車を降りた時に恥ずかしいから無理。かといって普通の長ズボンも、自転車用でないので長時間の走行に向いていないだろうし、裾の巻き込みや汚れもあるので却下です。そこで選んだのが、カジュアルな七分丈のサイクルパンツです。観光地で歩き回る時でも、それほど違和感がないだろうと考えました。
そこそこのお値段がするものでしたが、使ってみると膝が突っ張るとか、膝の下が汚れるとか、後ろポケットが無いとか、前にジッパーが無いとか、意外とそれぞれ使い勝手が悪いのです。
そこで次に用意したのが、ユニクロのショートパンツ。こちらは膝上丈の、それほどスポーティでは無い、綿のパンツです。選んだ条件としては、前開き、後ろポケットがある、ショートパンツであるの3つ。後ろポケットにこだわっているのは、自転車を降りた時に財布を後ろポケットに入れるためです。サイクルジャージのポケットに入れれば良いといわれるかもしれませんが、背中のポケットに入れると椅子に座った時にあたって嫌なのです。
見た目的にもこれは良かったのですが、難点が1つ。綿なので乾きにくいことです。手洗いで洗濯して、ひと晩経っても乾かないということが多かったのです。最終的に自転車にくくりつけて、走りながら乾かすことになりました。これはちょっと面倒です。
そして最後に行き着いたのが、ユニクロのドライEXハーフパンツでした。イメージとしては、半ズボンの体操服というかジャージです。ちょっとスポーティすぎるかと思いましたが、後ろポケットも有り、乾きも早くて、使い勝手は良かったです。利便性を考えるとこれがベストということになりました。やはりここでも吸汗速乾性が重要ということになりました。
タイツ
ズボンが常に半ズボンなら、タイツもあった方が良いでしょう。それほど寒くなくても、日焼け防止のためにもタイツはオススメです。最近はスポーツ用のタイツ(レギンス)がいろんなメーカーから販売されているので、それらを利用するのが良いでしょう。
私は最初はユニクロのヒートテックのタイツを利用していましたが、意外と乾きにくいのと、伸びやすかったです。最近ではワークマンのレギンスが安くて良いのですが、すぐに売り切れてしまうのが難点です。接触冷感の夏用と起毛素材を使った冬用がありますが、春夏秋の利用なら夏用のもので良いでしょう。
パンツ
こちらはアンダーウェアとしてのパンツです。これも速乾性のあるものであれば、何でも良いでしょう。
私の日本一周出発時はお尻の痛みを防ぐため、自転車用のパッド入りパンツを利用していました。日本一周の中盤以降は、お尻も慣れてきたので普通のユニクロのパンツに変えましたが。パッド入りパンツはパッド部分が乾きにくいのが欠点です。
お尻が痛くなる人は、パッド入りパンツを用意するより普通のパンツで、サドルにクッションをかぶせるのが良いかもしれません。私は自転車の見た目を気にする人間なので、それが許せなくてパッド入りパンツを利用した次第です。
なお、タイツを履くならパンツはいらないかもしれません。
部屋着
自転車に乗っている時は、薄着でも常に運動しているので大丈夫なのですが、暖房設備のないライダーハウスやキャンプ場などでは春や秋の朝晩は寒いので、それなりの服が必要です。着慣れた部屋着で良いでしょう。
私はユニクロのフリース素材の上下を愛用しています。
レインウェア
自転車旅で重要視されるのが、レインウェアです。コンビニで売っているようなビニールのもので無くて、しっかりしたものを選んだ方が良いでしょう。特にゴアテックス素材を使ったモノが良いといわれています。
自転車に乗ってレインウェアを利用する場合は、雨を防ぐよりも蒸れを防ぐことを重視した方が良いと思われます。レインウェアの性能の指標に耐水圧と透湿性の2つの数値があって、この数字が大きいほど性能が良いことになります。簡単にいうと、耐水圧はどれくらい外からの水に耐えられるかで、透湿性はどれくらい蒸れを外ににがせるかです。常に体を動かしている自転車の場合は、透湿性をよく見ておくべきでしょう。
例えば最近人気のワークマンの商品で見てみます。オートバイに乗る人向けの「3レイヤー透湿レインスーツ BIKERS」と一般向けの「レインスーツSTRETCH Perfect」で比較します。
3レイヤー透湿レインスーツ BIKERS…耐水圧20,000mm、透湿度2,000g/m²/24h、上下セット5,800円
レインスーツSTRETCH Perfect…耐水圧10,000mm、透湿度8,000g/m²/24h、上下セット4,900円
BIKERSが耐水圧が高いけど透湿度が低く、STRETCH Perfectはその逆です。オートバイは高速で走るので耐水圧が重視され、運転中はそれほど動かないので透湿度は必要が無いということです。この場合だとSTRETCH Perfectの方が自転車にむいていると考えた方が良さそうです。
なお、モンベルのゴアテックス素材を使った自転車用のサイクル レインジャケットは、耐水圧50,000mm以上、透湿性44,000g/m²/24hです。ワークマンのものに比べると、性能が全然違いますね。激しい運動で1時間あたりにでる汗の量は、約1,000g(24時間で約24,000g)と書かれていることもあるので、透湿性が24,000g/m²/24h以上であれば、汗によるべとつきはおさえられるかもしれません。ただし値段もジャケットだけで23,000円+税と、かなりの高額になります。モンベルはゴアテックス素材の自転車用レインジャケットを何種類かだしていますが、軽いものはスレなどに弱いようなので、耐久性を考えるとサイクル レインジャケットが1番良さそうです。
なお、自転車用のレインジャケットは、乗車姿勢を考えて作られていて、後が長めになっていたり、立体裁断されていたりします。またパンツは裾をベルクロで留められるようになっています。このあたりが登山用などとの違いです。
私が利用したレインジャケットはモンベルの軽登山用のレインジャケットでした。ずいぶん昔に買ったもので耐水圧や透湿性はどれくらいかはわかりませんが、外からの雨よりも汗でベトベトになりました。ゴアテックス素材のものを利用したことがないので、その良さがわからないのでなんともいえませんが、予算が許すならゴアテックス素材のものを選ぶのが良さそうです。
自転車で世界一周した昼間岳氏も、メンテナンスの必要性があるもののゴアテックス素材のものをオススメしています。
靴
靴に関しては、足のサイズに合っていれば何でも良いのですが、圧倒的にサンダルがオススメ。特にKEENのニューポートH2が自転車日本一周の定番です。
スニーカーなどは1度雨でぐっしょり濡れてしまうとなかなか乾きません。濡らさないためにレインシューズカバーを持つのも面倒ですし、逆の発想で濡れても大丈夫なサンダルがオススメとなるわけです。
サンダルなら何でも良いかというと、そういうわけでは無くて、ペラペラのサンダルだとすぐにそこが破れる、つま先がむき出しだと危険など。KEENのニューポートH2をオススメするのは、つま先が保護できる、底面が分厚い、滑りにくいなどの特徴があるからです。
走行を重要視する方はビンディングシューズでも良いですが、レインカバーと観光地やキャンプ場などで履き替えるシューズを用意した方が良さそうです。
靴下
サンダルを履く方は靴下をはかない人が多いようですが、靴下は履いた方が良いです。素足でサンダルを履くと汗で匂いがついてしまい臭くなりますし、サンダルのひも柄で日焼けしてしまいます。
私は足に障害がああり人に見せられない足なので、常に靴下は履いていました。スポーツ用の速乾性・消臭性にすぐれたものを選んでいました。
手袋
スポーツ自転車は前傾姿勢になるので、ハンドルを握る手にも重量が掛かります。手のひらの負担を減らすためにも、手袋はあった方が良いでしょう。
自転車でもオートバイでも軍手が良いという人がいるのですが、私はこれには反対です。目が粗いので防風の役にも立ちませんし、手のひらにクッションも無く、利用する意味が見いだせません。万が一転んだ時には、手の擦り傷などを防げるかもしれませんが。
やはり自転車には自転車用の手袋が良いと思います。手のひらにしっかりとしたクッションがあって、親指部分に汗を拭くことの出来る素材を使ったモノが良いでしょう。
夏用と冬用があるので、1年を通して走るなら両方あった方が良いと思います。
その他
上記以外では、日焼け止めのためのアームカバーや、ヘルメットの下にかぶるバンダナキャップを利用していました。このあたりは好みですね。
何日分の着替えを持つか
日本一周において、着替えを何着持つかが重要です。究極的に切り詰めると、着ている分と着替えの2着で良いという人もいます。これだと頻繁に洗濯することになり、やや面倒かもしれません。
日本一周ブログなどを見ていると、着ている分を含めて3~4着持っていることが多い印象です。手洗いするなら、洗う時間や干すスペースから、少なくして頻繁に洗うのが楽かもしれません。荷物を積むスペースがあるなら、3日分くらいでため込んでコインランドリーというのが、お金は掛かりますが楽です。
最初は少なめに持っておいて、必要であれば途中で購入することも出来ますし、多めに用意して使わないとなれば、実家などに送り返すという方法もあります。このあたりは自身の清潔感にもよりますので、旅を始めてから修正していくのが良いかと思います。
私の服装
日本一周出発前
日本一周後のインプレッション
日本一周の経験を踏まえて、6~8月の北海道旅を考えた装備がこちらです。これなら春夏秋の3シーズン対応できる、私の旅スタイルの完成形です。
まとめ
日本一周に何を着ていこうと、そんなものはその人の自由です。
ただし自転車に乗るのに適した服は、サイクルウェアの特徴から考えると、動きやすいこと、風の抵抗を受けにくいこと、汗を吸って乾きやすいこと。要はダブダブでは無い、柔らかくて、吸汗速乾性を持った素材の服を選べば良いでしょう。
用意する服として、上はTシャツ、長袖シャツ、ウインドブレーカー、ダウンジャケットなど。下はズボン、タイツ、パンツなど。キャンプ場やライダーハウスで過ごすために、部屋着などがあると良い。レインウェアは雨の中でも走るなら、品質の良いもの(ゴアテックス素材)を選ぶこと。
靴は雨に濡れると乾きにくいので、サンダルがオススメ。KEENのニューポートH2は、自転車日本一周の定番です。
着替えの数は旅のスタイルに合わせて、途中で購入したり、実家などに送り返したりと柔軟に対応すれば良いでしょう。
最後に自転車乗車時汗をかきやすいこと、洗濯後のことを考えて、吸汗速乾性素材を使ったものを出来るだけ選ぶと良いでしょう。
以上、日本一周用の服装選びでした。
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この記事を書いた人の自転車旅遍歴
この記事を書いたサイト管理人の自転車旅遍歴です。
2009年、自転車で初めての100km越え。
2010年、自転車で四国一周10日間の旅。
2016年、自転車で日本一周。
2019年6月、自転車で北海道旅(途中で、打ち切り)
2019年10月、自転車四国遍路旅
自身での旅にくわえて、自転車日本一周ブログが大好き。たくさんのブログを読んで、自転車旅の知識を補強しています。過去の自転車日本一周ブログのリンク集も作ってますので、そちらも参考にしてください。
40歳くらいで自転車に目覚めて約11年。現在は腰痛で苦しんでいます。今後、自転車旅は難しいかなと思いつつ、自転車旅に思いをはせてこの記事を書いています。