2020年版を書きました。
こちらの記事は生産終了モデルが含まれています。資料の意味でこの記事を残しています。値段やスペックは当時のものです。
自転車日本一周は、どんな自転車でも出来ます。実際にママチャリやロードバイク、クロスバイク、ミニベロなどの自転車でされている方もいます。
過去の自転車日本一周のブログをまとめています。使用した自転車も、記載してあるので、こちらも参考にして下さい。
ただ、やはり自転車日本一周をするならば、ツーリング用に作られた自転車の方が、楽に、そしてリスクも少なく出来るのでは無いかと考えています。実際に自転車日本一周をした経験から、この自転車なら日本一周するのに良いんじゃないかと思われるものを、紹介します。
2019年ツーリング自転車の傾向
2019年の状況としては、昨年よりさらにグラベルロードが増えてきたこと。砂利道も走ることの出来る太いタイヤ、悪路でも安定した制動力を発揮するディスクブレーキ、これらを備えた長距離走行向けのロードバイクです。
ただ、メーカーにより設計思想が結構違うので、これがグラベルロードと定義するのは難しいようです。詳しくは「京都の自転車専門店きゅうべえ」のホームページで解説されています。参考にしてください。
ダボ穴がないなど、キャリアや泥除けが取り付けられないものもあるので、日本一周用としては注意が必要かなと思います。また、フロント2速で、ギア比が高めなのも気になるところです。
また、バイクパッキングもずいぶん取りあげられるようになりました。従来のように、自転車にキャリアをつけるのでは無く、キャリア無しで直接(専用の)大容量バッグを取り付けるスタイルです。これならダボ穴の無いロードバイクでも、それなりに荷物を積むことが出来ます。
サイクルベースアサヒのブログで、従来のスタイルと比較した記事があります。
ロードバイク+バイクパッキングというスタイルの自転車日本一周も、これからは増えてくるかもしれません。ただ、日本一周をするには、荷物の積載量は少ないので、ネットカフェやホテルを積極的に利用し、食事は外食メインとするような形になるかと思います。
ただ、ロードバイクを使った日本一周に、新たな選択肢が増えたと考えて良いかと思います。
ツーリング自転車に必要な特徴
紹介の前に、まずは私の考えるツーリング車に必要な特徴です。
- タイヤが太い目
- キャリア・泥除けがつけられるダボ穴がある
- それなりの変速性能があり、低ギア比があること
- 丈夫であること
ツーリング車やランドナーとして紹介されるものは、ほとんどのものがこれをクリアしていると思います。なお、2017年版では「ドロップハンドルであること」をあげていたのですが、昨年から外しました。ドロップハンドルではないですが、紹介したい自転車があるためです。
アラヤ フェデラル
フレーム/フォーク素材 | クロモリ/ハイテン |
シフター | Wレバー(ダウンチューブレバー) |
フロント/リアギア | 28/38/48T / 11-30T 8s |
タイヤ・スポーク数 | 26×1-3/8(37-590) 36h |
ブレーキ | カンチブレーキ |
フレームサイズ | 440/500/540 |
標準価格 | ¥62,000(税抜価格) |
付属品 | 泥除け |
最近の自転車日本一周でも、よく使われています。2018年モデルから、値段以外の変更はありません。2,000円値上がりしましたが、それでも値段は安く、オススメできる自転車です。
シティ車で採用されている26×1-3/8タイヤは、日本で一番入手性の良いタイヤ。トラブルにあったときでも、少しは安心です。効きが悪いと言われているカンチブレーキですが、シマノのシクロクロス用のカンチブレーキを採用しているところに、アラヤの良心が見られます。
あえて欠点を挙げるとすれば、シフターがWレバーということです。昔はWレバーが普通でしたから、問題はないのですが、デュアルコントロールレバーがある現在は、若干のマイナスでしょうか。
荷物満載の自転車で、片手を離して変速するというのは、意外とバランスを崩しやすいと感じました。もちろん慣れればそれほど問題はないといえますが、暗いトンネルや斜度のきつい上りではデュアルコントロールレバーの方が良いと思います。
もうひとつタイヤバルブが英式ということ、これもシティ車と同じものです。英式バルブは空気圧管理がきっちりとできないという欠点があるのですが、空気入れを借りることができる可能性が高いという利点もあるので、欠点というほどのことではないかな。
最後に脚力に自信がない人はリアスプロケットを11-32Tに交換することで、ギア比を少し低くすることが出来ます。
フェデラルに関しては、私の持っている2010年モデルを、日本一周用にカスタムした記事があるので、参考にしてください。
アラヤ ツーリスト
フレーム/フォーク素材 | クロモリ/クロモリ |
シフター | Wレバー(ダウンチューブレバー) |
フロント/リアギア | 28/38/48T / 11-32T 8s |
タイヤ・スポーク数 | 26×1-3/8(37-590) 36h |
ブレーキ | カンチブレーキ |
フレームサイズ | 490/530/570 |
標準価格 | ¥99,000(税抜価格) |
付属品 | 泥除け、フロントキャリア、フレームポンプ |
フェデラルの質感を上げたツーリング車です。
アラヤはフェデラルをサイクリング車、ツーリストをツーリング車、今回紹介しないスワローをランドナーとカテゴライズしております。しかし、ツーリストは(狭義の)ランドナーと呼んでもよいのではないかと。ランドナーらしくない点といえば、ハンドルバーがマース型というくらいでしょうか。
フェデラルと比較すると使われているパーツがそれぞれ良いものとなってます。ただ、走行性能に大きく関わってくるかというと、それほどでもないので、質感を重要視しなければ、フェデラルでも十分だと思います。
リアスプロケットが11-32Tで、より低ギア比があるのが違いでしょうか。 フレームポンプ(空気入れ)がついているのが、ちょっと嬉しいところです。なお、フェデラルと違いこちらのタイヤバルブは仏式です。
フロントキャリアはついておりますが、サイドバッグは付けられないので、フロントにサイドバッグを付けるのであれば、フロントキャリアを交換する必要があります。
ミヤタ アイガー
フレーム/フォーク素材 | クロモリ/クロモリ |
シフター | Wレバー(ダウンチューブレバー) |
フロント/リアギア | 28/38/48T / 11-25T 8s |
タイヤ・スポーク数 | 26×1-3/8(37-590) 32h |
ブレーキ | カンチブレーキ |
フレームサイズ | 470/520/550 |
標準価格 | ¥129,900(税抜価格) |
付属品 | 分割式泥除け、フレームポンプ、トゥークリップ |
ミヤタのランドナーです。スペック的にはアラヤのツーリストに近いです。ただ、使われているパーツが結構違います。パーツ的にはツーリストのほうが良いかなと思います。
リアスプロケットが11-25Tで、一番軽いギアはフロント28Tでリア25T。ギア比は1.12です。これだと斜度のきつい坂を荷物満載で上るのは、脚力がないと厳しいかと思います。
アラヤのツーリストと比較すると、こちらはハンドルバーがランドナーバーですし、泥除けも分割式、さらにペダルにはトゥークリップもついております。ツーリストよりも、よりランドナーらしいモデルかと。その分お値段も高いですが。
マルイシ エンペラー ツーリングマスター
フレーム/フォーク素材 | クロモリ/クロモリ |
シフター | Wレバー(ダウンチューブレバー) |
フロント/リアギア | 28/38/48T / 13-28T 8s |
タイヤ・スポーク数 | 650x38A(40-590) 32h |
ブレーキ | カンチブレーキ |
フレームサイズ | 490/520/550 |
標準価格 | ¥130,000(税抜価格) |
付属品 | 分割式泥除け、トゥークリップ |
丸石のランドナーです。リアスプロケットが13-28tに変わりました。(昨年から変わっていたかもしれません。見落としていました。)
昨年から、タイヤが650x38Aになっています。 同じ26インチタイヤですが、幅が少し広くなっております。また、ハブがラージフランジハブでよりランドナーらしくなってます。
スペック的にはアラヤのツーリスト、ミヤタのアイガーに近いです。 3台とも使われているパーツが少しずつ違っていて、比べてみると面白いです。
ミヤタのアイガーとほぼ同等で、値段もほぼ同じ。リアスプロケットに28tがある分、荷物満載で坂道を上ることを考えると、こちらの方がオススメできます。
マルイシ エンペラー ツーリングコンダクター
フレーム/フォーク素材 | クロモリ/クロモリ |
シフター | Wレバー(ダウンチューブレバー) |
フロント/リアギア | 28/38/48T / 11-30T 8s |
タイヤ・スポーク数 | 700×35C(35-622) 32h |
ブレーキ | カンチブレーキ |
フレームサイズ | 510/540/560 |
標準価格 | ¥130,000(税抜価格) |
付属品 | 分割式泥除け、トゥークリップ |
こちらはちょっと珍しい700cランドナーです。この呼び名が正しいかどうかは別として、スポルティーフと呼ぶのはちょっと違う気がします。700cのタイヤを採用している以外は、正統派ランドナースタイルと言って良いでしょう。
ツーリングマスターと違い、リアスプロケットは11-30Tです。こっちのほうが安心です。こちらも昨年から、タイヤが32Cから35Cへと太くなり、ハブがラージフランジハブになってます。
マルイシ エンペラー ツーリングプレイヤー
フレーム/フォーク素材 | クロモリ/クロモリ |
シフター | Wレバー(ダウンチューブレバー) |
フロント/リアギア | 28/38/48T / 11-32T 8s |
タイヤ・スポーク数 | 26×1-3/8(37-590) 36h |
ブレーキ | カンチブレーキ |
フレームサイズ | 520/550 |
標準価格 | ¥89,800(税抜価格) |
付属品 | 泥除け |
2018年から登場したこちらのモデルは、ツーリングマスターの廉価版といったところ。
使われているパーツも、ずいぶんと違うようです。スペック表を見ると、Wレバーとブレーキレバー、ヘッドパーツは同じようですが、それ以外は違います。
だからといって性能が落ちるわけではありません。むしろリアスプロケットが11-32Tの分、日本一周用としては、こちらのほうが良いかも。”ランドナーらしさ”にこだわりがなければ、ちょっとだけ値段は高いですが、フェデラル同様オススメです。
TREK 520
フレーム/フォーク素材 | クロモリ/スチール |
シフター | デュアルコントロールレバー |
フロント/リアギア | 26/36/48T / 11-36T 9s |
タイヤ・スポーク数 | 700×38C(38-622) 36h |
ブレーキ | ディスクブレーキ |
フレームサイズ | 480/510/540/570 |
標準価格 | ¥138,000(税抜価格) |
付属品 | リアキャリア、フロントキャリア、トゥークリップ |
昨年のモデルから、大幅にモデルチェンジしました。バーエンドコントローラーからデュアルコントロールレバーに、タイヤが700x32Cから38cに、フロントキャリアも追加。ジャイアントのグレートジャーニー無き今、STIレバーのツーリング車として、日本一周用自転車として、これはオススメです。値段もめちゃくちゃ高くはありませんし。
低ギア比もフロント26Txリア36Tで0.72、これなら荷物満載でも激坂を上れるでしょう。むしろ使うことは無いかもしれないくらいです。ちょっとしたリスクとしては、リア9速ということでチェーンとリアスプロケットの耐久性くらいでしょうか。
ただ、海外製のツーリング車はどれも9速になっています。メーカーとしては9速でも、耐久性は大丈夫という判断なのでしょう。
KHS World Tour TR-101
フレーム/フォーク素材 | クロモリ/クロモリ |
シフター | デュアルコントロールレバー |
フロント/リアギア | 30/39/50T / 11-36T 9s |
タイヤ・スポーク数 | 700×32C(32-622) 36h |
ブレーキ | ディスクブレーキ |
フレームサイズ | 440/470 |
標準価格 | ¥120,000(税抜価格) |
付属品 | なし |
2018年にモンタナツアーがフラットバーハンドルになり、ドロップハンドルモデルとして、こちらが登場しました。2018年モデルから変更は無いようです。
デュアルコントロールレバーにディスクブレーキ、ダボ穴がたくさんある鉄フレームとTREK 520とにたコンセプトのモデルになります。海外のツーリング自転車は9速モデルが多いですね。基本コンポはシマノSORAを使用。ハブとリアディレイラーはALIVIO。
ペダルがついてなかったり、泥除けもついていないですが、これはなかなか良さそうです。フロントインナーギアが30Tと大きいぶん、リアは36Tまであります。これなら激坂でも踏めるのではないかと。
ただ、TREK520が大幅にモデルチェンジして、ツーリング用としてはかなりの出来のようなので、比較するとちょっと劣るかも。
MARIN FOUR CORNERS
フレーム/フォーク素材 | クロモリ/クロモリ |
シフター | デュアルコントロールレバー |
フロント/リアギア | 30/39/50T / 11-34T 9s |
タイヤ・スポーク数 | 650B(40-584)/700×42C(42-622) 32h |
ブレーキ | ディスクブレーキ |
フレームサイズ | XS/S/M |
標準価格 | ¥116,000(税抜価格) |
付属品 | – |
STIレバー、ディスクブレーキ、ダボ穴のある鉄フレーム。私の現在の理想とするツーリング自転車であります。TREK520に比べるとキャリアがついていませんが、その分値段は安くなっています。
タイヤはフレームサイズによって変わり、XS/Sサイズは650B、Mサイズは700x42cのタイヤです。リスク面で言うと、スポークが32本のところ。積載量が多くなってくると、スポーク折れのリスクが少し高くなるでしょうか。
JAMIS AURORA
フレーム/フォーク素材 | クロモリ/クロモリ |
シフター | バーエンドコントローラー |
フロント/リアギア | 26/36/48T / 11-34T 9s |
タイヤ・スポーク数 | 700×32C(32-622) 36h |
ブレーキ | カンチブレーキ |
フレームサイズ | 500/530 |
標準価格 | ¥115,000(税抜価格) |
付属品 | 泥除け、リアキャリア |
バーエンドコントローラーを採用したツーリング車です。バーエンドコントローラーを使ったことがないので、実際のメリットデメリットはわからないのですが、海外のツーリング車では、よく採用されています。Wレバーよりは変速時の手の移動距離が少なくてすみます。
ポイントとしてはリア9段によるチェーン・リアスプロケットの耐久性でしょうか。日本一周用としてなら、それほど問題はなと思いますが。よりリスクを減らすことを考えたときには、リア8段モデルが良いと思うのです。
フレームサイズが500からと大きいので、体の小さい人には向いていないです。昨年からリアスプロケットが11-34Tになっており、より軽いギアが選択できます。
CINELLI HOBOOTLEG
フレーム/フォーク素材 | クロモリ/クロモリ |
シフター | バーエンドコントローラー |
フロント/リアギア | 26/36/48T / 11-34T 9s |
タイヤ・スポーク数 | 700×35C(35-622) 36h |
ブレーキ | カンチブレーキ |
フレームサイズ | 46/49/53/56 |
標準価格 | ¥210,000(税抜価格) |
付属品 | 泥除け、フロントキャリア、リアキャリア |
JAMIS AURORAと似た、バーエンドコントローラーを採用したツーリング車です。前後キャリアはTUBUSのTARAとLOGOで、信頼性のあるものを採用しています。ただ、ちょっと値段が高いですね。
イタリアのHPには、「hobootleg easy travel」という、STIレバーを使ったモデルもあるのですが、日本のHPにはありません。バーエンドコントローラーよりは、STIの方が操作はしやすいので、こちらを日本でも販売してくれるとうれしいのですが。ただ、こちらもお高くなるでしょうね。
KHS Montana Tour
フレーム/フォーク素材 | クロモリ/クロモリ |
シフター | サムシフター |
フロント/リアギア | 26/36/48T / 11-34T 9s |
タイヤ・スポーク数 | 26×1.75(47-559) 36h |
ブレーキ | Vブレーキ |
フレームサイズ | 410/460 |
標準価格 | ¥100,000(税抜価格) |
付属品 | 泥除け、片面ビンディングペダル |
昨年からハンドルバーがフラットバーハンドルになりました。サムシフターにVブレーキと、非常にユニークなツーリング車です。 Vブレーキを使用してますが、なぜかディスクブレーキ台座もあります。
シマノ製パーツがハブとリアスプロケット、チェーンのみ。シフターやディレイラーはMaicroshiftという台湾メーカーのものです。 低ギア比は0.76ですので、これならどんな激坂でも大丈夫かも。ただ、ここまで要らないかも。
ついてくるペダルが片面ビンディングというのも、ユニーク。個性派ツーリング自転車です。ドロップハンドルが苦手な方には、これもありかと。
昨年のモデルですが、詳しく解説されているので、この自転車が気になる方は、参考にしてみて下さい。
まとめ
以上、2019年版、日本一周自転車旅用ツーリング自転車12選です。
昨年とりあげた「ライトウェイ ソノマ アドベンチャー」は非常に魅力的なモデルながら、2019年モデルはフロントが2段になったので、取りあげませんでした。また、「パナソニック OJC4」はラインナップから無くなり、フレームセットの「FJC5」に。完成車じゃないので、こちらも取りあげませんでした。
その代わりに「CINELLI HOBOOTLEG」と「MARIN FOUR CORNERS」が加わりました。
フロントが3速で、リアは8速もしくは9速であることを取りあげる基準としているので、「アラヤ スワローランドナー」や「ビアンキ ANCORA」、「SURLY LONG HAUL TRUCKER」、「ルイガノ BEACON9.0」等のリア10速モデルや、グラベルロード、スポルティーフなどフロント2速のモデルは除外しております。
もちろんこれらが、日本一周用としてダメというわけではありません。荷物満載の自転車で日本各地の激坂を上るなら、フロントは3速あった方が良いし、リア10速だとチェーンやスプロケットの消耗が気になってきます。日本一周を前提としたオススメを考えた場合に、私の選択からは外れただけです。
リア10速モデルの中には、モンベルの自転車ブランドの「シャイデック TR」とか、「ルイガノ BEACON9.0」を取りあげたい所ですが、そういった理由であえて外しました。
最後に、自身の自転車日本一周の経験から、デュアルコントロールレバーのものをオススメします。今回取りあげたものの中では、「TREK 520」が良いかなと思ってます。
コスト面だけでいえば、やはりアラヤのフェデラルがオススメです。近年、日本一周にもよく使われているので、ノウハウも探せばあります。Wレバーも慣れれば、問題なく使えます。ただ、操作時に片手になるというのだけが、若干の不安ですが。