さて、今回は私の考える、日本一周用ツーリング自転車の選び方です。
ツーリング自転車と言っても、日帰り旅や輪行の旅など、色々な使い方があるわけですが、今回は自転車日本一周に限った選び方です。
以前書いた記事では、日本一周用という前提で書いておりますが、荷物満載での日本一周を想定しています。今回は荷物満載ではない日本一周も、少し意識して書いております。
自転車選びといいますと、ロードバイクやマウンテンバイクなど、色々な種類のものから選ぶことになります。しかし日本一周をするなら、ツーリング自転車が良いと思っておりますので、そのあたりはあえて省いております。
もし、ロードバイクで日本一周したい!という方や、マウンテンバイクで!という方は、この記事を読む必要はありません。自分の思いを大事にしてください。
まずは見た目から
さて、自転車選びですが、いちばん重要なのは見た目だと思ってます。それなりの期間ずっと乗り続けるわけですから、気に入るかどうかです。現代的なスタイルのものが良いのか、クラシックなスタイルが良いのか。
もし町で旅をしている方の自転車を見て、あんなのが良いなぁとか、雑誌やブログで見たのが良いなぁとかがあれば、同じようなスタイルのものを探せばよいかと。サイクルショップヨシダのツーリング自転車カテゴリを参考にするのも良いです。
とりあえずボヤッっとでも良いので、自転車の形を想像していただければ。
日本一周の定義(ルート)・日数・荷物を考える
自分の旅にはどういった自転車があっているのか考える必要があります。それにはまず、どのような旅をしようとしているのかを確認しなければいけません。
日本一周と言っても、そのかたちは人それぞれです。重要なのはルートと日数から考えられる、1日の平均走行距離と、野宿のための宿泊用具・自炊用具・電子機器など荷物の量です。
1日の平均走行距離を増やそうと思えば、タイヤの細い、ロードバイクに近い自転車が良いです。タイヤが細いほうが、より高速で走ることが可能なので。荷物を沢山持っていくのなら、安定性の良い太いタイヤの自転車が良いでしょう。
荷物満載でたくさんの距離を走りたいというのが一番難しいかなと。高速性をとるか安定性をとるか、判断の別れるところだと思います。
これもルートや日数は、ボヤッとしたものでもよいかと思います。重要なのは、高速性を重要視するのか、安定性を重要視するかです。そこだけは、はっきりとさせておく必要があります。
ツーリング自転車の比較・検討
それでは実際にどんな自転車があるかを見ていくことにします。ここではY’s Road 環八・R1号店 田渕喬介さんが書いたブログ記事「ツーリングバイクを探してるんですがどう選んだらいいですか?」を、参考というか、引用させていただいて説明したいと思います。
この記事でツーリング自転車を、「スピード」か「積載量」かと、「STI」か「Wレバー」かとで、分けております。
A 【スピード・STIタイプ】 そこまで荷物を積まないスピードタイプ
B 【積載量・STIタイプ】 重量たっぷり積んでロングライドや海外ツーリングもOKなSTIモデル
C 【スピード・Wレバータイプ】 いわゆるスポルティーフと呼ばれるジャンル
D 【積載量・Wレバータイプ】 いわゆるランドナーと呼ばれるジャンル
「現代的なスタイルのものが良いのか、クラシックなスタイルが良いのか」と「高速性を重要視するのか、安定性を重要視するのか」がうまく分類されているかと。
この図を元に、横軸をタイヤの太さ、縦軸では上下を変速方法に低ギア比の数値を加え、いくつかのツーリング自転車を配置してみました。探せばもっと自転車の種類はあるかと思いますが、サイクルショップヨシダの、ツーリング自転車カテゴリで扱われているものを、メインにしております。
ゴチャゴチャして、わかりづらいかもしれません。申し訳ないです。
タイヤの太さはETRTOの数値で、配置しております。縦に並んでいるのは、タイヤの幅が同じということです。リム径が違う場合もあり、厳密に言うと違うこともありますので、あくまでも参考程度で見てください。
上下はSTI(デュアルコントロールレバー)かWレバーかで分けております。なお、バーエンドコントローラーはSTI側にいれました。
またその中で、低ギア比の数値をもとに位置決めをしております。中央によるほど、低ギア比の数値は大きくなり、離れるほど小さくなります。中央から離れている方が、より坂道重視と考えていただければと思います。赤・青の点線は低ギア比1.0をあらわす線です。
A 【スピード・STIタイプ】
このタイプには特にツーリング自転車というのは、見当たらないようです。ロードバイクのタイヤを23cから25cや28cに変え、(ダボ穴がないため)アダプターを使い、キャリアを取り付ける場合が多いかと。
このタイプでは前後にサイドバッグを付けるのは、荷物が重くなりすぎ、安定性の面で、ちょっと厳しいかと思います。サイドバッグは後だけくらいにしておくのが良いかと。フロントキャリア自体もこのタイプに取り付けできるものは、少ないですし。
荷物を少なくしての高速日本一周、もしくは輪行などを使った分割式の日本一周向けかと。なお、ロードバイクの場合は低ギア比が大きいので、脚力のある人向けです。
B 【積載量・STIタイプ】
このタイプは現代的なツーリング車といえるでしょう。
私のおすすめ日本一周自転車のグレートジャーニーやルイガノGMTを始め、海外のツーリング自転車はこのタイプが多いかと。MASIのRANDONNEURなんて、日本のランドナーと全然違いますね。
STI(デュアルコントロールレバー)の操作性の良さやタイヤの太さ、荷物満載で走ることを前提としたフレームやフォークの作りから、このタイプが日本一周用としては向いていると思います。前後サイドバッグに加え、ハンドルバーバッグ、リアキャリアに荷物満載もドンと来いです。
逆に荷物を少なくしたとしても、タイヤが太いので速く走るには向いておりません。高速日本一周には、向いていないということです。
実はSTIで太いタイヤという事だけであれば、シクロクロスや最近増えてきたグラベルロードというものがあります。雨の日でも心強いディスクブレーキ搭載のものも多いです。図の中にあるものとしては、MASIのCXがコレにあたります。
ただ、積載量に関しては、?のものが多いかと。見た目の特徴としては、ツーリング自転車と似ているのですが、これらで日本一周を考えるときは、注意が必要です。
それらの中には、フレームやフロントフォークの素材がカーボンのものがあります。それにキャリアを付けて、荷物満載にするのは、強度的にちょっと不安があります。荷物満載にすることを、前提としていればよいのですが、シクロクロスの競技用であれば、そういう前提ではないでしょうし。
また、フレームのジオメトリが、ツーリング向けではないかと。これらはAのタイプも、同じことが言えます。ジオメトリに関しては↓この記事を参考にしてください。
【自転車を性格診断】ジオメトリから見るスポーツバイクの選び方(2017/2/12更新)
ツーリング自転車は様々なところで、直進安定性を重視されていますが、ロードバイクやシクロクロス用などはそうではないのです。また、チェーンステーが短いために、泥除けやセンタースタンドを付けられない可能性があります。
シクロクロス用に比べると、グラベルロードは、ツーリング向けと言って良いかもしれません。もしくはアドベンチャーとカテゴライズされているものには、長距離ツーリングを想定したものもあるようです。
これらの自転車で日本一周を考える場合は、カテゴリーで考えるのではなく、その自転車の設計思想などをよく読みとる必要があります。メリット・デメリットを理解した上で、選択しなければなりません。
C 【スピード・Wレバータイプ】
このタイプは、スポルティーフと呼ばれるものです。高速性を重視した、旅用自転車と言って良いでしょう。Aのタイプと違い、最初からキャリアを付けるためのダボ穴がありますし、ジオメトリもツーリング向けの作りになっています。
ただタイヤの細さから安定性を考えると、A同様サイドバッグは後だけのほうが良いかなと思います。前後にサイドバッグをつけるのであれば、タイヤを32cにしたいところです。
自転車によっては出来ない場合もありますので、注意が必要です。タイヤを太くしたとしても今度は荷物を満載にしたときに、スポーク32本というのが、若干のリスクになってきます。
このタイプで日本一周する場合は、Aほどではないにしろ、低ギア比が大きいので脚力のある人向けです。また、ルート的に標高の高いところを目指す方には、前3段のモデルがおすすめです。
D 【積載量・Wレバータイプ】
このタイプは一般的にランドナーと呼ばれるものです。昔から多くの方が、日本一周した自転車と言って良いでしょう。見た目的にこのタイプがいいという方が多いのではないでしょうか。旅心をくすぐる自転車です。
STIのタイプに比べると、変速の操作性は劣りますが、昔からこんなものとわりきれば、納得できるかもしれません。ただやはり、STIレバーのほうが変速時の安全性(ハンドルから手を離さなくてよい)は、良いかと思いますが。
正統派650Aランドナー、少なくなってきた26インチHEランドナー、こちらも少数派700cランドナーとタイヤサイズはそれぞれです。泥除けあり、キャリア取付用のダボ穴あり、スポーク36本、ジオメトリと日本一周用としては、どれを選んでも問題はありません。
ただ、低ギア比に関しては、メーカーによって違うのでちょっと注意が必要です。坂道を重視する場合は、低ギア比は1.0あれば良いと言われたりもします。
私としては荷物満載であれば、低ギア比は0.9前後が良いのではないかと思ってます。これは個人の脚力もありますので、絶対ではないですが。
アイガーやエンペラーツーリングマスターの場合、リアスプロケットを交換して、低ギア比を小さくすることが可能です。あわせてチェーンを長くするため、チェーンも交換しなければならないかもしれませんが、比較的お金もかからないと思います。(工賃含めて1万円もしないと思います。)
アイガーやエンペラーTMがいいけど、脚力に自信がないという方は、購入時にお店の方に相談してみるとよいかと思います。
以上がツーリング自転車の分類です。
見た目と、日本一周のスタイルに合わせた分類の中から、選ぶと良いのではないかと思います。その中でのブレーキの種類であったり、低ギア比であったり、違う部分でどこを自分なりのポイントとするかです。
自転車選びには妥協も必要?
自分の好み、旅のスタイルに合った自転車が見つかりましたでしょうか。ところで、自転車を購入するには、それなりの金額がかかります。見つけた自転車は予算にあっているでしょうか。
GIANTのグレートジャーニーやルイガノGMTであれば、泥除けやキャリアがついています。しかし、それらがついていないものの場合は、追加投資が必要です。それらを含めて考えると結構な金額になってきます。
日本一周の準備としては、自転車以外にも様々なものが必要です。その中で自転車にどれだけの予算がかけられるのか。自転車にかける予算が少ない場合は、結局はコストパフォーマンスに優れた自転車を選ぶことになります。
BのタイプだとグレジャニやGMT、Dのタイプだとフェデラルです。日本一周の自転車として、これらがよく使われているのは、このあたりにも理由があるのではと思うのです。
どこまで自転車にこだわるかという事なのですが、自転車日本一周される方は、自転車にこだわる方は少ないようです。”自転車で”日本一周ではなく、”日本一周を”自転車でといったところでしょうか。
自転車にお金をかけられる場合や、こだわりたい場合は、最初に決めたものでよいかと思います。そうではない場合、予算が合わなければ、何かしらを妥協して、コストパフォーマンスに優れたものを選べばよいかと思います。
自転車の購入
さて、欲しい自転車は決まった。それでは買おうとなったとします。でも、どこで買えば良いでしょうか。
今はロードバイクが流行っておりますので、以前に比べると、都市部ではスポーツ自転車を扱っているお店は、増えているかと思います。
しかし、ツーリング自転車を置いているお店は、少ないのです。運良く在庫がある場合は実際に乗ってみて、乗り心地やサイズを確認した上で購入すればよいかと。
問題は、在庫がない場合です。その場合はお店で取り寄せてもらうか、ネットでの購入になるかと思います。ここで問題になってくるのが、フレームサイズ。
どのサイズを取り寄せてもらうか、もしくはどのサイズを購入するかです。フレームサイズとは自転車のフレームの大きさで、乗る人の体の大きさによって選ぶことになります。
メーカーではフレームサイズに合わせて、適応身長を書いておりますが、この数字はあくまでも参考値です。身長が低くても、手足の長い人もいますし、その逆もありえます。フレームサイズに関しては、乗ってみないと自分にあっているかどうかの、判断はすごく難しいのです。
お店で取り寄せてもらう場合は、お店の人とよく相談するのが良いかと。ネットでの購入に関しては、ある意味賭けになるかと思います。その場合は身長に対して、大きいものを選ぶのではなく、小さい方を選ぶのが無難かと思います。
例えば165cmの人の場合、S(155-165)、M(165-175)があるとすれば、Sを選ぶほうが無難ということです。大きいサイズに無理して乗るのは、疲れることが多いと思うのです。(主にトップチューブ長からくる、ハンドルとの距離によると思います)
先ほども紹介した、【自転車を性格診断】ジオメトリから見るスポーツバイクの選び方(2017/2/12更新)にもあるように、
スポーツ自転車の場合は適正サイズより小さいものには調整次第で快適に乗ることができますが、
適正サイズより大きいものはハンドルが遠すぎる、跨がれないなど不具合が出る可能性もあります。
スポーツ自転車に限っては、大は小を兼ねず、小が大を兼ねます。
ということです。
自転車の購入に関しては、信頼できる自転車店が近くにあれば、一番良いのですが。購入から乗り方の指導、後々のメンテナンスまで見てもらえるお店があればベストです。自転車の購入費としては、ネットに比べると高くはなりますが、それ以上の価値があります。
ただ、自転車店にも得手不得手がありますので、ロードバイク専門店でツーリング自転車の購入は場合によっては、やめたほうが良いかもしれません。考え方が競技志向になっていたり、在庫のあるロードバイクを、売ろうとするかもしれないからです。
これらはもうお店の人とのコミュニケーション次第です。こちらの話をよく聞いてくれず、お店の考えで、特定の物を勧めてくるときは要注意です。
少し家から遠くても、ツーリング自転車に強い自転車店(地方に時々ある、昔ながらのスポーツ自転車店はこういう店が多いかと)がおすすめです。真摯に相談すれば、親身になって対応してくれると思います。
近くに全く自転車店がない場合は、ネットで買うしかありません。その場合は簡単な組み立てから、サイズ調整、キャリアなどの取付けも自分でしなければいけません。それなりの工具や知識も必要になります。ハードルは高いかもしれません。
そういうことがはじめから無理だと思う方は、自転車店で購入するしかありません。遠くても車や電車を使って、自転車店での購入がよろしいかと思います。
まとめ
という事で、以上が私の考える日本一周用ツーリング自転車の選び方です。見た目と旅のスタイルから自転車の分類を選び、その分類の中で、自分のこだわりや予算に合わせて、決定するというものです。
何度も書いておりますが、日本一周はどんな自転車でもすることは可能です。その中でツーリング自転車を勧めるのは、比較的楽に、そしてリスクを少なく旅ができるからです。
これから自転車日本一周を考えられている方の参考になればと思い、頑張って書いてみました。意味がわからないとか、ここはおかしいというのがあれば、コメントなり、「お問い合わせ」からメールで頂ければ幸いです。
なお、こちらの記事を書くにあたっては、Y’s Road 環八・R1号店 田渕喬介さんが書いたブログ記事「ツーリングバイクを探してるんですがどう選んだらいいですか?」
自転車旅行に行こう!「自転車旅行初心者のための自転車の選び方」
を参考にさせていただきました。