さて、寒くなってくるとオートバイ乗りには、いつも話題にあがってくるアイテムがあります。それが今回紹介するハクキンカイロです。なぜかオートバイ乗りはハクキンカイロが好きなのです。しかも今年はソロキャンプ・アウトドアブームもあって、そちらの方面でもハクキンカイロが取り上げられた記事をちょくちょく目にするようになりました。
そんな中、最近書かれた上記ブログにハクキンカイロの良いところとして、「ロマンがある」と書いてありました。これを読んで、「確かにハクキンカイロにはロマンがあるなぁ」と納得したのです。
私も以前からハクキンカイロを利用しているのですが、なぜ利用しているのかと問われると、うまく説明できませんでした。繰り返し利用できエコだから、というのが最もらしい理由ともいえるかもしれないのですが、私はそれほど普段からエコとか考えていないですし、しっくりきません。
しかし「ハクキンカイロにはロマンがある」というと、納得してもらえるのではないか? そんな風に思ったわけです。「ロマンがある」というのが、1番しっくりくると思うのです。
ハクキンカイロに関しては、色々なサイトで語られているので、基本的なことは省略します。詳しくは上記のブログや公式サイトなどを参照してください。ここではハクキンカイロの何がロマンなのかを語りたいと思います。
ロマン1 モノとしての魅力
まずはやはりモノとして、魅力があるということです。
そもそも使い捨てカイロとは違い、本体が金属で出来ているのでモノとしての魅力がありますね。金属の塊。この絶妙なラインやクジャク模様、美しいと思いませんか?
そしてシンプルな構造で頑丈な作り。永久保証を謳うだけのことはあります。
100年近い歴史の中でも、時代によって微妙に変わっていて、いつ頃に作られたのか、そんなことを調べるのも、やはりロマンであります。
ロマン2 使う前の儀式
ハクキンカイロを使うには、まずベンジンを注ぎ、ライターなどでプラチナ触媒を反応させます。この儀式(今風にいえば、モーニングルーティンだ)が、袋から出せばすぐに使える使い捨てカイロとは違い、面倒といえば面倒です。
振り返ってみると現在あまり使われなくなったモノは、この使い始めの儀式が必要であることに気づきます。
フィルムカメラはフィルムを装填し空シャッターを切る、吸引式万年筆はインクボトルからインクを吸い上げる、キャブレターのオートバイはチョークをひいて暖機運転などなど。どれも面倒といえばそれまでですけど、これらは今もこだわって使っている人も多いですよね。
ハクキンカイロもやはりこれらと同じなのであります。使う前のこのひと手間、この儀式こそがロマンなのです。
ロマン3 引き継がれる
私の手元には今3台のハクキンカイロがあります。写真の右側に写るものが私が10年くらい前に買ったもの。
あとの2つは母親からもらったものです。わたくしのおばあちゃんが使っていたものを母が引き継ぎ、最近私がもらいました。母はベンジンを入れたりするのが面倒なので、最近は使い捨てカイロ派になっています。
ハクキンカイロは火口と呼ばれる部分が消耗品なのですが、古いタイプのものでも現在の火口が使えたりもします。おばあちゃんが使っていたハクキンカイロを孫の私が使う。代々引き継がれていくロマンなのです。
ロマン4 ほのかに香るベンジンの匂い
胸ポケットにハクキンカイロを入れておくと、ほのかにベンジンの匂いがすることがあります。
多分、オートバイ乗りにハクキンカイロが愛されている理由の1つに、このベンジンの匂いがあるのではないかと勝手に想像しています。オートバイってふとした時に、ガソリンやオイルの匂いがします。それと同じで、この匂いがロマンを感じると思うのです。オートバイに乗っている人には、わかってもらえるのではないかと。
なお、私は大好きなのですが、この匂いがいやという人がいるかもしれません。そういう方は、ZIPPOオイルを試してみてください。個人的にはZIPPOオイルの方が匂いが弱い気がします。また、同じベンジンでもハクキンカイロ用とそうでないものでは、少し成分が違うようなので匂いも違ってくる可能性があります。
まとめ
色々と書いてきましたが、実際にハクキンカイロを使うのは面倒です。
使い捨てカイロに比べると、毎回ベンジンを注ぐ必要がありますし、ライターなりマッチなりが必要です。また、服に貼り付けるような使い方も出来ませんし、寝る時に使おうと思うとゴツゴツします。あまり使われないのは、やはり不便だからなのです。
その不便なものを何故使うのか?
モノへの愛着とか、ちょっとした不便を楽しむとか、代々引き継いでいけるとか、今まではうまく言えなかったのですが、こういうのを「ロマンがある」というのではないかと思ったのです。
皆様の実家にもひょっとしたら、ハクキンカイロが眠っているかもしれません。親御さんが使っていないようなら、それらを引き継ぐのも良いのではないでしょうか。愛情に応えてくれるモノであると思います。
ハクキンカイロ Tips
ハクキンカイロ非公式ファンサイト
この記事を書くにあたりハクキンカイロのことを調べました。公式サイトにはあまり過去のモデルの情報などなくて、おばあちゃんのハクキンカイロがなんというモデルなのか調べたいと思っても、なかなかわかりませんでした。がんばって検索して見つけたのが、↓のサイト。
2012年で更新がストップしていますが、ハクキンカイロ愛の溢れるサイトであり、非常に資料的な価値もある素晴らしいサイトです。なくならないことを祈ってます。
ハクキンカイロの使い方
ハクキンカイロの使い方を紹介している公式動画です。
ハクキンカイロと使い捨てカイロの比較
実際のところ、ハクキンカイロの性能って使い捨てカイロとどれくらい違うの? と思われる方も多いと思います。GIGAZINEというサイトで、これらの比較をした記事がありますので、参考にしてください。
ハクキンカイロとZIPPO ハンディウォーマー
ZIPPOからもハクキンカイロと同じような商品が、「ZIPPOハンディウォーマー」として販売されています。ハクキンカイロのOEMという話もありますが、モデルによって生産国が違ったり、いまいちわかりづらいです。
amazonのレビューを見ると、比較してハクキンカイロの方が良いと言っている方が多いので、日本人ならハクキンカイロで良いのではないかと思っています。なお、ZIPPOには12時間モデルと6時間モデルがあるようです。
ハクキンカイロの類似品
amazonを見ると、ハクキンカイロの類似品がたくさん出てきます。品質的にも交換部品があるのかもよくわからないので、オススメはいたしません。なお、本体の穴(ハクキンカイロだとクジャク模様)は空気を取り込む量が関係してくるようなので、穴が多いほど熱くなりやすいらしいです(その分時間が持たない)。
この穴の数や大きさによって、発熱量や持続時間がコントロールされるので、そのへんのノウハウはハクキンカイロにかなうことはないでしょう。
なお、最近グッズ展開がすごいことになっている『ゆるキャン△』柄のハンディウォーマーも販売されています。ぱっと見にはZIPPOっぽいのですが、穴の配置が違うので品質には疑問が残りますね。
ハクキンカイロの袋
私のハクキンカイロPEACOCKの袋は、チェック柄のもの。最近ネットで見るのはフリース製でちょっとオシャレですね。それにしても私のハクキンカイロは汚いですね。
おばあちゃんのハクキンカイロの頃は、赤の別珍素材。
ハクキンカイロ用フリース袋は単体で販売されていますが、amazonでは品切りのようです。ハクキンカイロ公式ショップで購入可能です。
ZIPPOのものは安定供給されているようです。
ちょくちょく品切れになりますが、『ゆるキャン△』柄のフリース袋もあります。
ベンジンとzippoオイル
以前はハクキンカイロ専用ベンジンという、ハクキンカイロのパッケージにも登場する、おじさんの顔のベンジンが販売されていました。
現在、この専用ベンジンは廃盤となり、ハクキンカイロ指定ベンジンとして、「エビスベンジン」と「NTベンジン」が販売されています。指定ベンジンは、従来の「ハクキンカイロ専用ベンジン」と全く同一の中身になっており、ハクキンカイロのためにブレンドされたベンジンとのこと。「ハクキンカイロ指定」と明記されています。
amazonなどで見ると、同じメーカーでもハクキンカイロ指定ベンジンとそうでない特製カイロ用ベンジンなるモノがあります。どう違うかはわかりませんが、ネットで購入する場合はそのあたりもチェックした方が良さそうです。
近くのドラッグストアでは写真にあるハクキンカイロ指定NTベンジンが500mlで800円ほどでした。ハクキンカイロ指定でない場合は、もう少し安く買えるようです。品質に関してはレビューなどでもまちまちなので、使い方にもよるのかなと思います。
ベンジンは薬局、ドラッグストア、ホームセンターなどで買うことが出来ます。経験則的なことですが、カイロ用ベンジンはワンシーズンに1本しか入荷しない店が多いような気がします(都会を除く)。シーズン半ばでは売り切れる可能性があるので、寒くなり始めたらベンジンを買うようにするのが良いかと。また大手ドラッグストアより地域の小さな薬局の方がベンジンを置いていたりすることがあります(多分、昔から利用しているお客さんがいるため)。
そしてハクキンカイロにはハクキンカイロ指定ベンジンの他にZIPPOオイルも使えます。入手性ということでいうと、ZIPPOオイルの方がすぐれています。コンビニなどでも置いていますので。少し割高になりますが、頻繁に使わない場合やお試し的に使う場合はZIPPOオイルが良いでしょう。ZIPPOオイルは355mlと133mlがあります。
ツーリングで2・3泊するような場合にハクキンカイロを持って行くなら、ZIPPOオイルの小さい方を持って行くのが良いかと思います。
点火したか確認方法
ハクキンカイロの場合、火口にライターなどで火を近づけて反応が始まるのを待つわけですが、実際に暖かくなるかの確認方法があります。以前の説明書にはあったのですが、公式の動画でも省かれている手順になるので、ここに乗せておきます。
簡単なことですがフタを火口の谷間にのせます。
蒸気でフタがくもればOKです。
ハクキンカイロ用ベルト
腰痛持ちの私はハクキンカイロを腰にあてることをよくします。その時に使うのがこのカイロベルトです。腰だけでなく背中にも使えます。
腹巻きを使う方法もあるのですが、こちらがひとつあれば色々と使えるので便利です。
ピカールで磨く
今回この記事を書いていて、私のハクキンカイロがあまりにも汚いので磨いてみました。
金属磨きといえば、ピカールです。
この汚いのがピカールで磨くと、
それほどきれいにはなりませんでした。写真で見るより実物はもう少しきれいには見えるのですが。
やはり少し錆がキツいようです。
以前のパッケージ
私が10年ほど前に購入した時のパッケージです。この記事を書いた後に、探してみたところ発見しました。現在、ハクキンカイロ株式会社HPのトップで利用されているイラストですね。
値段は1,950円でした。現在定価3,500円(税別)なので、今思うと安かったですね。
おばあちゃんのハクキンカイロ
最後に私の引き継いだ、おばあちゃんのハクキンカイロの紹介。2つあるのですがハクキンカイロ非公式ファンサイトで調べたところ、両方とも「点火芯付A」と呼ばれるモデルです。株式会社ハクキンに改名前のハクキンカイロ株式会社の頃のもの、多分70~80年代はじめのものと思われます。なお、現在はまたハクキンカイロ株式会社に戻っています。
こちらがより古いタイプ。外装はすごくきれいです。
フタの孔雀の胴体には穴があり、「ハクキン」ロゴは彫ってあって片面のみ。
赤い繊維が見えていますが、これに直接火をつけるのです。本体が古いわりに火口はきれいなので、交換したのかもしれません。
もうひとつの方も外装はきれいです。
孔雀の胴体部分が浮彫になっています。「ハクキン」ロゴも浮き彫りで両面にあります。
こちらの方が火口が汚れていて、使い込んでいる様子があります。母がこちらを使っていたのかも。
点火芯付の場合はこのように、赤い繊維に火をつけます。フタをすると火が消えることになります。ただ、反応が始まっているか確認する方法がないのが難点です。
実際に使ってみたのですが、両方とも残念ながら火口がダメになっているようで、なかなか暖かくなりません。点火芯付A用の火口はもうなくて、現行のPEACOCK用火口を使うことになります。
3台同時に使うことはないのですが、大事にこれらを使っていこうと思ってます。