【旅日記】浄瑠璃寺から岩船寺へ、石仏を巡る旅【2019/08/21】

さて、今回は久々の旅日記です。

お盆も過ぎて、暑さも少し和らいだところで、ちょっとハイキングに出かけることにしました。メタボ予備軍の診断結果を受けて、ちょっとは歩かなければと思ったわけです。

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浄瑠璃寺~岩船寺ハイキングコース

最近、内田康夫の浅見光彦シリーズにハマってます。2時間サスペンスでおなじみの、旅情ミステリーです。奈良を舞台にした小説に「平城山を越えた女」があり、その中で浄瑠璃寺やその周辺を巡るハイキングコースのことが触れられています。遺体発見現場として登場するのですけど(笑)

この浄瑠璃寺のある場所は、京都府木津川市加茂町なのですが、京都といっても南の端、奈良との県境にあります。京都市からよりも、奈良市からの方が近いとあって、文化圏はほぼ奈良になります。

住んでいる大和郡山からもそれほど遠くないのに、恥ずかしながら浄瑠璃寺のことを私は全く知らず、この小説を読んで初めて知りました。お寺にはあまり興味は無いのですが、石仏がたくさんあるということもあり、ハイキングコースとしては面白そう。お盆中に小説「平城山を越えた女」を読んだこともあり、お盆を過ぎて観光客も少なくなった頃に、一度訪れてみようと考えていました。

このハイキングコースを調べたときに、検索に出てきたのが近鉄のてくてくまっぷ。大和高取城に登ったときも参考にさせていただいたこのシリーズ、距離や見所の解説など、非常に分かり易くて参考になります。

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今回はPDFファイルをプリントアウトして、持って行くことにしました。スマホにダウンロードもしてあるのですが、全体をパッと見渡すには、やはり紙の方が良いので。

このマップ以外は、あまり調べないようにしました。調べすぎるとあまり面白くないので。どういう石仏を見ることが出来るのか、楽しみにします。

スタートは浄瑠璃寺口

ハイキングコースのスタートは、てくてくマップに従って、浄瑠璃寺口のバス停からにしました。JR郡山駅からだと、JR奈良駅まで電車で行って、そこからバスで浄瑠璃寺口まで行く方法と、加茂駅からバスで行く方法があります。奈良駅からバスだと少し値段が高くなるので、今回は加茂駅からバスで行く方法にしました。

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浄瑠璃寺口のバス停で降りて、浄瑠璃寺口の交差点に向かいます。

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浄瑠璃寺口の交差点には、ちょっとした休憩スポットがあります。ここで装備をととのえ、出発です。まずは浄瑠璃寺を目指して、緩やかな上り坂です。

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あたりはのどかな田園風景。天気予報は曇りだったのですが、良い方に外れて良い天気でした。その分、思っていたよりも気温は高く、歩き始めてからすぐに汗がだらだらとこぼれ落ちてきました。少し暑さが和らいだとはいえ、30℃越えはハイキングとしては、やはり厳しいか。

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分かれ道が登場。マップによると真ん中を行けば、焼け仏があるというので真ん中を進みます。しかし、焼け仏を見つけることが出来ず。民家の庭みたいなところにあったのかな。

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この草ぼうぼうの道もちょっと入っていって見たのだけれど、見つけることは出来ず。案内板も見つけることは出来ませんでした。

大きな通りに合流し、浄瑠璃寺に向けて歩いて行くと、石仏がたくさん登場。

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たかの坊地蔵。舟形は鎌倉中期の作、それ以外は室町時代とのこと。

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西小無縁地蔵。

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その向かい側にあったお地蔵さん。

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浄瑠璃寺口から上ってくるとちょっとわかりづらい位置にある、長尾の阿弥陀如来像。

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笠石が上に乗っているのは、珍しいとのこと。

なお、この手前に浄瑠璃寺奥の院への入り口があったのですが、ちょっと距離がありそうなのと、虫が多くてまとわりつくように来るので、そちらに寄るのは断念しました。マップでも、紹介はされていないので、まぁ良いかなと。

この後にマップには、かけた三尊仏の記載があるのですが、こちらも見つけることが出来ず。夏は草が生い茂っていて、わかりづらいのかな。それとも私の目が節穴なんだろうか。

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歩き始めて約2.5km、浄瑠璃寺のバス停に到着です。左側を1台の車が通り過ぎていったのですが、それを追いかけるように、1匹の犬が走って行きました。ちょうどカメラを構えていたので、その姿を写すことが出来ましたが、一体何だったのでしょう。

浄瑠璃寺

浄瑠璃寺

本堂に9体の阿弥陀如来像を安置することから九体寺(くたいじ)の通称があり、古くは西小田原寺とも呼ばれた。緑深い境内には、池を中心とした浄土式庭園と、平安末期の本堂および三重塔が残り、平安朝寺院の雰囲気を今に伝える。本堂は当時京都を中心に多数建立された九体阿弥陀堂の唯一の遺構として貴重である。~Wikipediaより

浄瑠璃寺には9体の阿弥陀如来像以外にも、写真家の土門拳が絶世の美女と評した「吉祥天女像」もあります。こちらは秘仏扱いで、年3回のご開帳期間しか見ることが出来ません。現在はその期間ではないため、見ることは出来ませんでした。

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浄瑠璃寺の山門。「平城山を越えた女」の作中では、この山門の前に意味ありげに女性がたたずんでいました。

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非常に分かり易い解説が書いてありました。事前知識なしで行ったので、分かり易い解説はうれしい。

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宝池の向こうには、三重塔が見えます。

お寺はあまり興味の無い私ですが、まずは9体の阿弥陀如来像を見てみようと思い、400円払って本堂に入りました。本堂内は写真撮影禁止で、写真はありません。

歩くとギシギシなる廊下を歩き、本堂内へ。薄暗い本堂の中には、阿弥陀如来像がずらっと並んでおります。入ってすぐの脇には、持国天と増長天の四天王像が。多聞天と広目天は現在、国立博物館にあるとのこと。

しかしやはり9体の阿弥陀如来像(国宝)が圧倒的。真ん中にある像が少し大きく、両脇のそれぞれ4体は少し小さい。しかしよく見ると全部で7体しかない。抜けている場所に行くと、2018年度から5カ年計画で、像の修理修復をしているとのこと。残念なことに、9体そろうのは2023年くらいか。

9体揃っていないとはいえ、その姿は圧倒的でした。真ん中にある阿弥陀如来中尊像には、座ってお参りする旨が書かれており、その通りにしてみました。そうすると立って見ていたのと違う姿が見られます。半眼はこちらを見つめ、語りかけてくるようであり、光背のそりがその前に座する私を包み込んでくれるような、そんな気がしました。

そして、最後に不動明王が。不動明王は仏像の中でも、かっこよくでミーハー的な意味で好きなのですが、こちらの像も迫力があり、力強さが感じられました。

あまり信仰心のない私ですが、これらには圧倒されました。普段はお金を払ってまで、仏像を見ようとは思わないのですが、ここは見て良かったと思えたのでした。

本堂の後は、池の周りを歩きます。

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こちらは三重塔。この中にも秘仏である「薬師如来像」が安置されているとのこと。

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三重塔側から、本堂を写す。紅葉の時期はもっときれいになるでしょうね。

思いのほか、浄瑠璃寺は楽しめました。このあとは本来の目的である石仏を楽しむべく、岩船寺に向かうハイキングコースへ。

岩船寺へ

浄瑠璃寺を後にして、岩船寺に向かうハイキングコースへ進みます。

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浄瑠璃寺を過ぎると道は狭くなりますが、平日なので車は少なく歩きやすい。

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道路脇にある、薮の中地蔵。案内板もあるので、見逃さずに済みます。ここを過ぎて、灯籠のある場所を右手に曲がれば、いよいよ緑生い茂るハイキングコースです。

ハイキングコースとして、足下は舗装されていて歩きやすい。所々、砂で埋まっているようなところもありますが、ぬかるんで歩きづらいようなところはありませんでした。

ただ、ここからが虫に悩まされます。ずっとまとわりついてくる虫。蚊ではないのでしょうが、目の前を飛び回ったり、耳元を飛び回ったり。目障り、耳障り。やっぱり夏は虫が多くて、特に山の方は嫌ですね。

このあたりを歩いているときに、今年初のツクツクボウシの鳴き声を聞きました。いよいよ夏も終わりに向かっているのだと感じながら、歩いて行きます。

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カラスの壺阿弥陀磨崖仏。

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二面磨崖仏ということで、わかりづらいですが左の方にも地蔵が彫られています。

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ハイキングコースの途中、岩船寺への分岐がありました。左の階段を上げって行くと、岩船寺へのショートカットになります。今回は右に進みます。

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しばらく進むと、笑い仏と呼ばれる磨崖仏。ちょっと斜めになってます。

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その横手には、眠り地蔵が埋まるようにしてあります。

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さらに進んで弥勒磨崖仏。少し見えづらくなっています。

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線で彫られているのが、わかるでしょうか。

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岩船寺へのコースのクライマックス。県道をまたぎ、舗装されていない山道へ突入していきます。このあとが急な坂道で、ハイキングコース中で一番歩きにくいところかも。

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坂道を上ったところに、三体地蔵磨崖仏。岩肌の大きさに比べて、ちょっとかわいい大きさの地蔵が3体並んでます。

ここを過ぎれば岩船寺までは、下り坂。ちょっと急なところもありますが、岩船寺側は舗装されているところもあり、比較的歩きやすくなっています。

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岩船寺に到着です。

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いわゆる無人販売所ですが、この近辺では吊す形が一般的なようです。何カ所か見かけましたが、実際に商品が並んでいたのは、こちらくらいでした。

岩船寺はあじさい寺としても有名で、三重塔などもあるのですが、今回はパス。駐車場にあったベンチをお借りして、昼食のおにぎりを食べました。

それにしても思っていたよりも天気が良くて、汗でベタベタ。虫はまとわりついてくるし、早く風呂に入りたいという思いが。しかし道のりはまだまだ。岩船寺が折り返し地点となって、浄瑠璃寺方面に向かいます。

ホトケ谷の磨崖仏へ

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県道からハイキングコースに入っていきます。笑い仏の手前の分かれ道がここにつながっているわけです。

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しばらく進むと階段があり、それを降りると、目の病気を治してくれるという信仰もある一願不動。こちらも彫りが薄くなっていて、ちょっとわかりづらい。階段を戻り、さらに進むとまた階段が。

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笑い仏手前の分かれ道に戻る階段です。急ですが手すりもあるので、下りやすくなっています。逆にこれを上がってくるのは、ちょっと大変かも。

その後は浄瑠璃寺方面へ、来たコースを戻ります。薮の中地蔵のところまで戻り、ホトケ谷の磨崖仏を目指します。

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首切り地蔵。それほど首が切れているようには見えないのですが。

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大門石仏群。このあたりは集落からは離れていて、木が茂るうっそうとした地域。

丈六の磨崖仏

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で、クライマックスのホトケ谷の磨崖仏…

この地域最大の磨崖仏で2.8mの如来座像が彫られているのですが、あたりの木が邪魔をしてあまり見えません。「平城山を越えた女」では、このように書かれています。

(前略)中でも、ホトケ谷の「丈六の磨崖仏」は、最大規模の石仏である。擂鉢状に丸く深く切れ込んだ谷越しに、正面の崖に刻まれた巨大仏がこっちを睨んでいるのは、なかなか迫力があって、一見に値する。

この文章を読んで、是非見たいと思ったのですが、どうやら来る季節を間違ったようです。また作中では”そろそろ朽ち果てそうな木製の台の上に、小さな賽銭箱が乗っている”とも書かれているのですが、本当に朽ち果ててしまったのか、賽銭箱はありませんでした。

作中ではこの谷の下に遺体があったのですが、ここへ遺体を運んでくるのは一苦労だっただろうなんて想像していました。

加茂駅へ

ホトケ谷の磨崖仏を最後に、石仏を巡る旅は終了です。この後は浄瑠璃寺口のバス停へ向かうことに。浄瑠璃寺口交差点のベンチで、バスを待つか、そのまま加茂駅まで歩こうか悩みます。

実は汗でベタベタになって、ズボンの後ろが濡れてしまっています。そのまま座ると、椅子が濡れてしまうような状態。これでは申し訳ないし、駅までそれほど距離はないということで、歩いて駅に向かうことに。

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暑い中、加茂駅まで2kmほど歩きました。加茂駅には「山城列茶」が。柵があって横から撮れなかったのが残念。

というわけで、石仏を巡る旅はこれにて終了。浄瑠璃寺口のバス停らか歩き始めたのが10時頃。加茂駅に戻ってきたのが14時過ぎ。約4時間くらいのハイキングでした。それにしても暑かったです。

今回はGPSロガーを持って行くのを忘れました。おかげで今回のルートはなし。でも、ほとんどてくてくまっぷと同じルートでした。