さて、今回は自転車日本一周漫画「サイクル野郎」を、amazon Kindle Unlimitedで一気読みした話です。
自転車日本一周漫画「サイクル野郎」とは
『サイクル野郎』(サイクルやろう)は荘司としおの漫画作品。1974年から1982年まで「少年キング」に連載された。単行本は少年画報社(ヒットコミックス)から、全37巻。現在にいたる自転車漫画というジャンルのさきがけを成している。
健康的な少年が自転車で日本一周をするその行程を題材にしたもの。当時の少年の支持を集めた複雑な装備の多い自転車や、行く先々での少年らしい風景など、荒唐無稽なきらいがあるものの、当時の道路状況・社会環境を反映した内容となっている。
~Wikipediaより
以前はeBookJapanで、電子書籍として購入した話を書いたのですが、実は全巻読むこと無くストップしていました。やはり、パソコンで読むというのが、しっくりこなかったということもありますし、内容的にちょっと残念な部分もあり、読むのをやめてしまったのでした。
残念な部分とは、登場人物の発言です。当時の状況としては、こんなものだろうと思いつつも、無意味に人のことをバカにするような言葉や、モテたいがために平気で嘘をつくなど、嫌になったのでした。
ただ、そうはいっても、やはり気にはなっていました。出来れば読みたいなとは思っていたのですが、電子書籍はつらいし、中古で買うには高すぎる、どうしたものかと思いつつ、月日はたったのでした。
あるときamazonで色々見ていると、「サイクル野郎」がKindleで販売されていて、かつ「Kindle Unlimited」で読み放題であることに気がつきました。amazonはよく利用しているのですが、「Kindle Unlimited」は加入していません。しかし、「Kindle Unlimited」には、30日の無料体験期間があります。これを利用すれば、無料で読めるでは無いかと。
「Kindle Unlimited(キンドル アンリミテッド)」とは
「Kindle Unlimited」は、月額980円(税込)で和書12万冊以上、洋書120万冊以上のKindle電子書籍が読み放題になる、amazonの定額読み放題サービスです。
amazonで販売されている、電子書籍がすべて無料というわけで無く、「Kindle Unlimited」のロゴがあるものだけです。新しい目の本は、対象外のことが多いので、過去の作品を読むのに向いているかと思います。
利用して初めてわかったのですが、一度にダウンロードできる本が10冊まで。「サイクル野郎」の場合、37巻なので、10冊を超えるごとに登録を消さないと行けません。これがちょっとめんどくさいですね。
気をつけないといけないのが、読める本が突然入れ替わるらしいこと。以前、大幅なラインナップ変更もあったようです。人気のある本が読み放題だと、色々大変なんでしょうね。「サイクル野郎」も、いつまで読み放題対象かわかりません。興味のある方は、お早めに。
とりあえず、「サイクル野郎」を読むためだけに、無料体験を申し込みました。
読んでみた感想
ということで、「Kindle Unlimited」を利用して、「サイクル野郎」を一気読みしました。といっても全37巻、1週間くらいはかかりました。読み終わった感想は、やはり読んで良かったなと。自転車日本一周の楽しさや辛さが、余すこと無く描かれています。
感動するエピソードや考えさせられるエピソードもたくさん。70年代が舞台なので、現在とは環境など違うことも多いですが、自転車日本一周の本質は変わっていません。自分の力だけで進む自転車、一緒に旅する仲間、各地で出会う人々、周囲からの視線。今読んでも、違和感は感じないのです。
ただ、ネタバレになりますが、残念なことに日本一周は最後まで描かれていません。沖縄に到着して、全県制覇したところで、終わりになっています。
インタビューに「もう7年も続いてたし編集の人にも納得してもらって区切りをつけたんですね」とあるので、作者自身が終わらせたと言うことでしょう。家に戻るまでが日本一周なので、最後まで読みたかったですけどね。達成したとき、周囲の人にどういう風に受け止められたかが、気になります。それでも1年10ヶ月にわたる旅を、描ききっています。読んで損はありません。
印象深いエピソード
読んだ中で、印象に残るエピソードを紹介します。
輪太郎のトラウマ
8巻、北海道釧路にて。北海道を15日で一周するという、自転車ツーリスト天野。輪太郎をバカにし、競うような形で走ることに。ブラインドカーブから飛び出してきたトラックにはねられ、重傷を負うことになる。間近での事故を見た輪太郎は、この件がトラウマになり、自動車とすれ違うことが怖くなってしまう。事故の恐怖を乗り越えるエピソード。
高額アルバイト!銀行強盗
17・18巻、静岡県伊東市にて。金欠でバイトを探す輪太郎は、パンク修理できずに困っていた3人組を助けることに。その3人組から1晩で50万円もらえるという、仕事を持ちかけられる。その仕事とは、銀行強盗だった。旅中に犯罪に巻き込まれるエピソード。
難病の少女との約束
19巻、名古屋の病院の前で出会った少女は、筋無力症という難病を抱えていた。健康な頃はサイクリストだった彼女を励ますため、敢えて困難な雪道の行程を選び、彼女から頼まれたペンダントを、能登半島の恋路海岸に持っていこうとする。雪山でケガをしながらも、それでも進む輪太郎。遭難一歩手前で起こった、不思議なエピソード。
輪太郎のコンプレックス?
23巻、伊賀上野にて。日本一周開始してすぐの新潟県で出会った、リヤカーを引いて日本一周している玉本が再登場。玉本は元教師で、日本一周後はのびのび勉強できる塾を開きたいという夢を語る。一緒に訪れた伊賀上野の公園で、アメリカ留学をするほどの才女、吉川と連れの新関に出会う。インテリな吉川に悪態をつき、虚勢を張る輪太郎。玉本には「自分は自分」とたしなめられることに。その後、玉本と別れた輪太郎は、パンク修理が出来なくて困っている吉川たちに再び出会う。玉本の好漢ぶりと輪太郎の微妙な心の動きを描く、ちょっと良いエピソード。
脱獄犯は日本一周中!?
32・33巻、兵庫・岡山・広島・鳥取にわたるエピソード。兵庫県の刑務所を脱獄、日本一周サイクリストを装い、輪太郎の前に現れる過激派の爆弾テロリスト大山。輪太郎を人質として、国外逃亡のため鳥取砂丘の海岸を目指すことに。しかし、輪太郎とともに警察の追跡を逃れるため、道なき山道を踏破する中で、大山の心境は変化していく。そして、辿り着いた鳥取砂丘での衝撃の結末。
以上、印象に残るエピソードです。なお、見出しは勝手につけています。これがタイトルというわけではありませんので、ご注意を。これ以外にも、良エピソードがたくさんありますが、厳選して選びました。ちょっと切ない感じの話が多いですかね。紀伊半島のエピソードは、ネタバレにつながるため、あえて割愛しています。
さいごに
冒頭にも書いたように、「サイクル野郎」楽しめました。読んで損はないです。40年前のマンガなので、コマ割りとか表現とかは、今の漫画に比べると洗練されていません。また内容的には、今の倫理観に照らし合わせてどうなのよと思うことも多々あります。
繰り返し語られる、「なぜ自転車日本一周なのか?」。前半はあまり取りあげられませんでしたが、後半になるにつれ主人公は、自問自答を繰り返しています。色々なアクシデントもあり、本当に日本一周を続けることが正しいのか、悩む姿はリアルです。長い旅を続けていると、途中でやめたくなることもあります。
なぜ、輪太郎は日本一周をやめなかったのか?やめることが出来なかったのか?「Kindle Unlimited」の無料期間を利用して、読んでみるのも一興です。
なお、30日の無料体験期間が過ぎると、自動的に有料期間に入ってしまいます。「サイクル野郎」以外で、読みたいものがない場合は、忘れずに解約手続きを行いましょう。申し込んですぐに、解約手続きをしても、30日は無料で読めますので、あらかじめ手続きだけしておくのも、良いかと思います。