さて、今回は家から約5kmほどの距離にある、矢田寺へ行ってきた話です。
矢田寺
矢田寺(矢田山・金剛山寺)は奈良県大和郡山市にあり、近鉄郡山駅より西へ3.5キロ、矢田丘陵の中心矢田山の中腹にあります。7世紀建立とされる古刹で、日本最古の延命地蔵菩薩を安置しており、地元では昔から「矢田のお地蔵さん」として親しまれています。
しかし現在、矢田寺といえば、あじさい寺として有名です。25,000㎡の境内に紫陽花庭園や見本園があり、6月上旬から7月上旬にかけては約60種類10,000株が咲き揃います。新聞やテレビでも、あじさいが咲く季節には必ず取り上げられるほど。6月に入ると矢田寺へ行くバスも増発され、たくさんの人で賑わいます。
また、お寺の裏山には四国八十八ヵ所霊場巡りを模した「ミニ遍路道」があり、訪れる人を楽しませてくれます。
この矢田寺の「ミニ遍路道」を知ったのは、四国より帰って来てから。母に報告に行った時に、その存在を教えてもらいました。ちょっとしたハイキングコースになっているとのことで、新しく買ったハイキングシューズの慣らしを含めて、歩いてみることに。
そして、もうひとつの楽しみとして、大和十三佛霊場巡りの御朱印集めをします。
ずいぶん昔になりますが、無料でいただける屏風型台紙をもらい数カ所訪れていました。長い間放置していたのですが、断捨離をしていた時に見つけていて、機会を見てまた集めようと思っていたのでした。
旅日記
矢田寺へは近鉄郡山駅からバスが出ていますが、今回は家から歩きで向かうことにします。ハイキングシューズの慣らしもあるので、出来るだけ歩きたいと考えてのことです。
近鉄郡山駅から西へ、道なりに歩いて行くと矢田寺はあります。駅周辺は道が狭い上に交通量が多いので、歩く際は注意が必要。
富雄川を越えて進んでいくと、奈良高専があります。ここにはちょっと気になるものが。
零戦にも似たプロペラ機が。家に戻って調べたところ、「元は航空自衛隊の練習機である(ノースアメリカン社製)T-6G-NTテキサンで、昭和40年6月に防衛庁(当時)から用途廃止になった機体を教材として移管したもの」だそうです。
そんなものを眺めつつ、ズンズンと進みます。
参道にあたる坂道。少しきつめの坂ですが、四国の札所にあった坂に比べると距離も短くかわいいものです(笑)
停まっているバスが見えますが、そこがバス停。バスならこの坂を歩かなくて済みます。
バス停の少し先から一般車進入禁止の参道。
山門が見えました。あじさいの咲く頃は入山料が500円かかりますが、この時期は無料で入山できます。ここからはしばらく階段を上がります。お寺に階段はつきものですね、四国で学びました。
階段を上り終えると正面に本堂が見えます。あじさいの時期でない平日は、人も少なくゆっくりとお参りが出来ます。
こちらのお寺も高野山真言宗なので、お遍路のときと同じように読経してお参りをしました。そして本日のメインイベント、ミニ遍路道へ。
閻魔堂横から入っていくと、遍路道が始まります。
こちらの遍路道は大正14年に作られたようですが、長らくは放置され荒廃していたようです。近年、ボランティアの方々の力で、修復・整備されたようです。
まずは第1番霊山寺からスタート。各札所のご本尊が彫られた石仏が並んでいます。地形や札所の間隔は、四国霊場と同じ訳ではありません。
赤い前掛けは、とある女性の方が自作されたもので、半年に1度つけ替えてくれているそうです。本尊名・御真言・御詠歌がきちんと書かれています。
基本的にはご本尊と大師像が並んでいますが、大師像が無いところもあります。
イノシシ止めの柵なんかもあって、しっかりと整備された道になっています。
太龍寺も、ロープウェイを使わなくてもお参りできます!
四国お遍路でもよく見られてた、メッセージの入った看板もありました。
第45番岩屋寺は大きな岩の所に作られていて、実際の岩屋寺のイメージをなぞっているようです。
途中にはもみじ公園もあります。遍路道を紅葉の名所にしようと矢田寺の講の元代表らが考え、約2千本を植えたのだそうです。
第51番石手寺の向かいには、休憩所であるじゅっぷく小屋があります。こちらでちょっと腹ごしらえ。来る途中のコンビニで購入していた、おにぎりとお茶で昼食です。
このじゅっぷく小屋には、このミニ遍路を取り上げた新聞記事のコピーが多数貼られていました。休憩もかねて、これらもじっくりと読みました。
「矢田寺八十八カ所へんろ道」の修復にかかわった「矢田寺へんろみち保存会」会長山下さんについて取り上げた記事も。
そういえば自転車四国お遍路旅の途中で、とあるお遍路さんと話していた時のこと。奈良から来たと言うと、奈良に有名な先達がいると。ひょっとしたら、この山下さんのことだったのかな。
小屋のあるところからは、奈良盆地が見渡せます。この日は曇り空だったのでイマイチの景色でしたが、晴れていれば気持ちが良いでしょう。
じゅっぷく小屋から頂上まではもう少し。
へんろ道で一番標高が高い所には、満米上人塚があります。満米上人(まんまいしょうにん)は、ご本尊を「十一面観世音菩薩と吉祥天女」から「地蔵菩薩」に変更し、矢田寺を地蔵信仰の中心地へと発展させた人のようです。調べてみると面白い話がありました。小野篁と関係があって、冥府に赴き地獄を見てきたそうです。
小野篁は京都の六道珍皇寺にある「篁冥土通いの井戸」から、夜毎冥土へ通っていたといわれる人です。京都の魔界関連にはよく出てくる人で、実に興味深い人物。こんな所まで関連があったとはびっくりです。
それはさておき、ここへ来るまでの登り道は、それほどキツくありませんでした。ただ、整備されているとはいえ、未舗装の山道ですので、しっかりした靴でないと厳しいですが。
ここを過ぎるとあとは下るのみ。しかし、この下りの道がなかなかハード。
逆打ちすると登りが厳しくて、下りはなだらかということになりそうです。舗装された大きな道に出ると、ゴールはもうすぐ。
第88番大窪寺でついに結願です。
お遍路開始から、時間は1時間半くらいかかりました。距離は看板には約4.5kmとあったり、約3kmとあったりですが、GPSのデータから約3~4キロほどでした。
最後に御朱印をもらって、家路につくことに。
こちらが大和十三佛霊場巡りの守護屏風です。
ほとんどのお寺には訪れているのですが、こちらを持って行かなかったので、御朱印はまだまだ。これから少しずつ集めていくことにします。