さて、今回も大和十三佛霊場巡りに行ってきました。家から近い大安寺から新薬師寺まで、平城京のヘリをたどるように歩きます。
大和十三佛霊場とは
大和十三佛霊場は、奈良県にある13の仏菩薩を祀る寺院からなる霊場。
十三仏(じゅうさんぶつ)は、江戸時代になってから日本で考えられた、冥界の審理に関わる13の仏(正確には仏陀と菩薩)で、十三回の追善供養(初七日~三十三回忌)をそれぞれ司る仏様です。
第1番 宝山寺、第2番 西大寺、第3番 安倍文殊院、第4番 長岳寺、第5番 矢田寺、第6番 當麻寺(中之坊)、第7番 新薬師寺、第8番 小房観音、第9番 長弓寺、第10番 霊山寺、第11番 信貴山玉蔵院 、第12番 円成寺、第13番 大安寺となっています。
全国的には有名では無いかもしれませんが、どのお寺もよく知られており、バラエティに富んだ特徴のあるお寺です。超有名どころの東大寺、興福寺、元興寺、法隆寺、薬師寺以外で、メジャーなところをきっちりおさえたラインナップになっています。(まだまだメジャーなところはありますが…)
各寺院も大和十三佛霊場巡りには力を入れているようで、13ヵ寺の御朱印を集められる屏風型の台紙を、無料で授与しています。
旅日記
久々に晴天となったこの日、まずは4Kmほど先にある、大和十三佛霊場 第13番大安寺を目指します。
私の家は大和郡山市の北の端、ほんの少し歩けば奈良市。そしてそこには、平城京の南端に当たる羅城門跡があります。佐保川を渡る橋には、説明看板。
橋の北側がかつての平城京、本日はこの平城京の縁をたどる形で歩いて行くことになります。
本日は平坦な道を歩く、お散歩コース。平城京内のエリアを歩けば、古墳やお寺・神社などたくさんありますが、相変わらずどうでも良い風景の写真を撮っています。物干し竿の孤独。
火の見櫓が好き。晴天の青空に映えますね。
大安寺の南側に参道のキレイな神社があったので、訪れてみます。
八幡神社でした。小さいけど建物などは、風格あり。神社で軽くお参りしてから、大安寺へ。
大安寺の山門に到着。近くに住んでいながら、こちらに来るのは初めて。大安寺といえば毎年1月23日に行われる、ささ酒祭りが有名なくらい。境内に入るのは無料。
それほど大きいお寺では無く、見所はそれほど無いと思っていたのですが、これは大間違いだったと後々わかることに。
まずは本堂にお参り。ご本尊は十一面観音観音、10月1日~11月30日の期間は特別開帳されています。500円で宝物館も一緒に見られるということで、お参り後に見ることにします。
本堂の裏側にある変わった名前の嘶堂(いななきどう)、馬頭観音がまつられています。こちらの横にも、ミニお遍路がありました。
今年の6月に完成した、お砂踏霊場巡りです。
各札所の砂を踏んで廻ることで、お遍路をすることが出来ます。こちらもお参り。
納経所に行って御朱印をもらい、特別開帳の支払いをして本堂へ。本堂内で秘仏の十一面観音像をじっくりと見ます。
近くによっても頭の部分は見えづらいのが残念ですが、優しい姿の観音様でした。
本尊を見た後は、宝物館へ。こちらも仏像が並んでいました。
あまり聞いたことの無い不空羂索観音や、忿怒の形相の珍しい観音像・楊柳観音を見ることが出来ました。そして、こちらの宝物館では大安寺の歴史を知ることも出来ます。現在は小さなお寺ですが、奈良時代は25万平方メートルの敷地に、90余棟の建物が建ち並ぶ、かなり大きなお寺だったようです。
現在の山門の南には七重の双塔がそびえ立ち、東大寺に対して南大寺とも称されたとのこと。また、奈良時代における仏教の総合大学であったようで、最澄や空海(弘法大師)もこちらに住んでいた時期があるようです。
大安寺にお参りする前に訪れた八幡神社もかつての大安寺の一部だったようです。その南に七重の塔の後があるので、こちらも見に行くことに。
広大な広場で、塔の礎石があったところに碑が建っていました。こちらは東塔跡。
こちらは西塔跡。広大な敷地に建つこれらの碑を見て、かつての勢力に思いをはせる…
さらに大安寺の北側には、大安寺の瓦を焼いたとされる瓦窯が設置されていた杉山古墳があるとのこと。こちらも見に行きますが…
残念ながら、本日は見学できない日でした。火・木・土・日曜日の9時~17時しか、入れないようです。残念。
小さなお寺と思っていた大安寺が、かつては巨大なお寺だったことを知ることができました。ある意味スタンプラリー的な行動でお寺を訪ねているわけですが、自分にとって新発見となることがあるのは、本当に楽しいことです。
次は大和十三佛霊場 第7番 新薬師寺に向かいます。大きな通りに出たところで、昼食。吉野家で牛丼を。
その後は京終(きょうばて)駅を目指します。
最近整備された京終駅。すっかりとキレイになってしまいました。待合室にはピアノがおかれ、カフェも併設、ちょっとしたオシャレ空間になっていました。
こちらでトイレを済ませ、しばし休憩。
新薬師寺を目指して出発。少し進んだところで、路上のご神木を発見。普通に考えると邪魔な位置に木が立っているわけですが、ご神木として大切に残されています。
チェリオの100円自販機を発見。四国遍路旅ではサンガリアの100円自販機をよく見かけたのですが、奈良ではチェリオの100円自販機が多いのです。こういう日常にある、地域の違いを感じさせるものが好きです。
ずんずん歩いて新薬師寺の入り口に到着。かつて高畑まんま亭のあった場所は、オシャレカフェになっていました。自転車乗りが集うまんま亭のカレー、美味しかったのに閉店したのは残念としか。
新薬師寺は入山料600円。入り口で御朱印の料金も一緒に支払いします。
門をくぐって正面に、シンプルな作りの本堂。左手から本堂内に入ります。
本堂の中もシンプルな作りで、ガランとした空間の中央に薬師如来座像が祀られています。そして、そのまわりには十二神将立像が薬師如来を守るように円形に配置されています。この薬師如来座像と十二神将立像が国宝で、新薬師寺の一番の見所のよう。
薬師如来座像にお参りをしてから、ぐるりと十二神将立像を見て回ります。この十二神将立像がすごい迫力。すべての像が怒りの形相で、迫力満点。これには衝撃を受けました。これはすごいなと。今までは仏像にそれほど興味は無かったのですが、このようなものがあるのなら、他にもすごいものがあるでしょう。これはもっと勉強せねばならぬと。
御朱印は本堂内でいただきます。そこには十二神将立像のフィギュアが販売されていて、非常に興味がそそられたのですが、3500円もするのでちょっと手が出ませんでした。海洋堂のフィギュアでないかしら。
本堂をぐるりと廻ると、ステンドグラスが使われていました。反射してよくわからないですが、紅葉が映り込んだので、これも良いかと思い。
香薬師堂への道は、紅葉のトンネルのようでした。
新薬師寺のもうひとつの興味深い仏像、香薬師像(旧国宝)。明治時代に2度の盗難に遭い、昭和18年の3度目の盗難以降、行方不明となった仏像です。幸い、型を取っていたため現在はレプリカですが見ることが出来ます。
2016年に右手だけ発見されたことで話題にもなったこちらの仏像、私は浅見光彦シリーズの小説で知ったのですが、なかなか興味深い話であります。
現在、香薬師像は香薬師堂では無く、本堂の薬師如来座像前の向かって右側に安置されております。
これで新薬師寺も終了。新薬師寺の見所は、本当に本堂の中の仏像で、それ以外はかすんでしまいました。
帰りは家まで歩かずに、奈良駅まで。あいかわらず外国の人たちが一杯で。私が奈良に越してきた頃は、まだ奈良駅周辺は昔からの古いお店や、映画館や家電量販店が建ち並び、雑多な町の印象でした。最近は通りも拡幅され、小洒落たお店ばかりが建ち並ぶ観光地になってしまったなぁと。昔が良かったとはいいませんが、どこにでもあるようなありふれた町になってきたような気がします。
そんな思いを抱きつつ本日の旅は終了です。
御朱印の残りは、あと6つ。
本日の歩行ルート
歩行距離 16.32km(GPSのデータより)