【単巻ラノベを読む】『高天原なリアル(霜越かほる)』を読んで【読書メモ】

さて、今回も【単巻ラノベを読む】として、「みんなのオススメ単巻ライトノベル 年代順87選」で名前が挙がった作品を読むことにしました。

今回読むのは、’99年度ロマン大賞受賞作、霜越かほるの「高天原なリアル」です。

高天原なリアル

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著者:霜越かほる
イラスト:いしかわじゅん
文庫:スーパーファンタジー文庫
出版社:集英社
発売日:1999/10

あたし、毒島かれん。いきなりのけぞったでしょ? はじめて私の名前を聞く人はたいていそう。名字に「ブス」って入ってるだけで、うら若い娘には致命的だと思わない? ルーズソックスも、パンツ見せスカートもはかないし、携帯電話やPHSも持っていない(欲しいんだけどね)、真面目なお嬢さんなんかじゃない、普通の女子高生だったんだけど。おかんが24色の声音を持つ、プロの声優だったおかげで、ひょんなことから、大人の世界にひっぱり出され……。大騒動のはじまりだ~~!!

1999年に出版されましたが2001年4月のレーベル廃止に伴い、2002年7月にイラストを木場智士に変更して、スーパーダッシュ文庫から再文庫化されました。

今現在から見ると、新装版の方が古くさく感じて、いしかわじゅんのイラストの方が味わい深くてよいですね。

読んだ感想

ひょんなことで声優をすることになった女子高生毒島かれんと、そのマネージャーとなるゲーム開発会社所属のキャリアウーマン神代美代子が主人公。かれんの”あたし”、神代の”私”と交互に一人称を切り替えて話が進んでいきますが、この文章の使い分けがうまいです。”あたし”の場合は会話中心、”私”の場合は冷静な状況描写などを交えています。著者はこれがデビュー作らしいのですが、別名で書いていたかライター歴が長いのではないかと想像します。

1999年度のロマン大賞受賞作ですが、この賞は集英社のコバルト文庫とスーパーファンタジー文庫むけの賞です。「ノベル大賞」と「ロマン大賞」があり、「ノベル大賞」が新人賞・中編部門で、「ロマン大賞」がプロアマ問わずの長編部門です。「ロマン大賞」受賞作なので、本当のデビュー作ではないかもしれませんね。

話の元ネタとしては、94年に販売された恋愛シミュレーションゲーム「ときめきメモリアル」および主役キャラ藤崎詩織の人気と「ときめきメモリアル・アダルトアニメ映画化事件」です。これに声優を務める中の人を絡めています。どんどんと祭り上げられていく かれんの戸惑いや、ゲーム業界と広告業界の内実がリアルです。

悪役的な扱いとなる大手広告代理店の広告マンが目指すところは、バーチャルアイドルの政府機関への登用。特定のキャラが使用されることはあり得ないですが、自衛隊の募集ポスターに萌えキャラが使用される現在、将来はどうなるかは判らないでしょう。初音ミクが選挙を呼びかける日はくるのかななんて。

若干、時代を感じさせるところはありますが、かれんや美代子が本当に自分のやりたいことを見つける姿は、現在でも共感出来ると思います。主人公2人が女性なのに、なぜコバルト文庫でなくスーパーファンタジー文庫なのかは疑問ですが。

昨日の「2年4組交換日記」に引き続き、よい作品を読むことができました。