【単巻ラノベを読む】『ピクシー・ワークス(南井大介 )』を読んで【読書メモ】

さて、今回の【単巻ラノベを読む】は、前回のとある飛空士から飛行機つながりで、南井大介 「ピクシー・ワークス」を読むことにしました。

ピクシー・ワークス

著者:南井大介
イラスト:バーニア600
文庫:電撃文庫
出版社:アスキーメディアワークス
発売日:2009/9

学園の才女かつ問題児が集う笹島明桜高校・天文部。ボーイッシュな体育会系娘・神楽木芹香。和風美人な天才メカニック・葛城奈緒子。科学を偏愛する歩く校則違反者・片桐千鶴。夏休み直前、生徒会に部費の使い込みがバレた彼女達は、ある依頼を請け負う。それは、かつての戦争で葬られた戦闘機の修理で―!?そんなこんなで、お目付役の生徒会副会長・遠藤由衣も仲間に加え、女子高生4人による夏休みの“秘密の合宿”が始まった。やがて彼女達は戦闘機に隠された秘密を発見し…。少女4人のひと夏の“出会い”を描いた乙女のハイテク(?)青春白書、登場。

ピクシー・ワークス (電撃文庫)
アスキーメディアワークス
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読んだ感想

2010年頃にわりと話題になっていた作品です。ラノベらしい面白さといって良いのでしょうか。深く考えずに読めば、そこそこ楽しいかなといったところ。

天才女子高生3人+普通の女子高生が、戦闘機をレストアして飛ばす物語。あらすじからは、青春部活ものかなと思っていました。同時期に発売された「ほうかごのロケッティア」風のものかなと。しかし、どうやら作者が描きたかったのは、終盤の戦闘機の空中戦。そちらの描写に力が入っています。青春部活ものを期待すると肩透かしを食らいます。どちらかというと、ページ数は少ないものの空戦アクションが中心と考えて良いのかも。

物語のメインと思っていた、戦闘機をよみがえらせるのは、意外とあっさり。天才女子高生たちは知識も豊富、技術もあって、なんの挫折も無く、簡単にレストアしてしまいます。無人戦闘機だったのですが直すことが不可とわかり、有人戦闘機に変更することくらいが、発生した問題。しかも、それを簡単にクリアした上に、この戦闘機がAI搭載で、戦争を経験したことにより自我を持っていることも発見。なぜ、自我を持つに至ったかは描かれることも無く簡単に受け入れ、それと協力して、レストアおよびパイロットの訓練まで、やってしまいます。

レストアした戦闘機では、殺人の伴わないテロを起こすことになるのですが、女子高生たちは技術的な興味だけで、簡単に請け負ってしまう。この女子高生たちの倫理観がおかしくて、自分たちの興味のためなら他はどうでもよさそう。20歳未満なのに酒盛りをするシーンもあり、作者は意図的に倫理観の欠如した女子高生として、描いているようです。

飛行試験も行わずにぶっつけで戦闘機は飛びますし、操縦する女子高生はそれなりに訓練をしただけで、戦闘機を乗りこなしてしまう。ただ女子高生たちが考えていたよりは、世の中は甘くなくて、テロ行為は完全な成功をおさめることはできませんが、それなりに成功。

エピローグで続刊の可能性を示すべく、とある組織のことが描かれますが、これは蛇足。

さらに、舞台は第2次世界大戦後に、環太平洋戦争があり、その戦争が終わって15年の月日が経っている設定。戦争で肉親を失った人がいたり、戦争による環境汚染の影響で、環太平洋戦争症と呼ばれる遺伝子性疾患を患っている人間も多数いるようです。いわゆる戦後問題(被爆者問題的な)まで匂わせていて、こちらは完全に消化不良。

話はすべてがうまく進むし、戦闘機をレストアした達成感も感じることは無い。空戦アクションはなかなかの見所はあって、それが読後感の良さに効いているのかも。ただ、振り返ってみると、全体的に詰め込みすぎの印象。消化不良を起こして、何だかなぁとなってしまいます。

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