【90年代単巻ラノベを読む】『O・P・ハンター(神坂 一)』を読んで【読書メモ】

さて、今回の【90年代単巻ラノベを読む】は、「スレイヤーズ!」の大ヒットで90年代ラノベを代表する作家といっても良い、神坂一の短編集「O・P・ハンター」です。

O・P・ハンター

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著者:神坂 一
イラスト:吉崎観音(カバー)、巣田祐里子、こやま基夫、木村明広、前崎彬
文庫:角川文庫スニーカー文庫
出版社:角川書店
発売日:1998/10

(夜を渡るもの)女戦士アイリスは魔道士退治に出かけ…。(風の吹くまま)オレは突然『光の勇者様』として国王に召還され…。(姿なきもの)得体の知れない「何か」に襲われた実果だったが…。(O・P・HUNTER)宝探し屋シンが探し求める「お宝」はそんなもんかいっ!!―と、ゆーお話が4つ集まった神坂一、初めての短編集。

1995年9月に単行本で出版され、98年10月に文庫化。文庫版にはあとがきがありません。

読んだ感想

冒頭でも書いたように、神坂 一は90年代を代表するラノベ「スレイヤーズ!」の作者です。「スレイヤーズ!」はヒロイックファンタジーをベースに、コミカルな要素を加え、大ヒットした作品とのことですが、私は読んだことがありません。その頃はライトノベルから離れていたので、今回が初の神坂作品です。

「O・P・ハンター」は「夜を渡るもの」「風の吹くまま」「姿なきもの」「O・P・HUNTER」の4編からなる短編集です。それぞれが別の主人公の作品なので、ラノベでよくある連作短編ものではありません。作品内容もファンタジーあり、ホラー、近未来ものとなっており、バラエティに富んだものです。

「姿なきもの」だけがテイストの違う作品で、それ以外はアクションコメディといったところです。全体的に軽いのりで、バトルマンガを小説にしたようなもの。「O・P・HUNTER」以外は、ひねりも無くて今読むと物足りない印象です。

夜を渡るもの

ヴェノムと呼ばれる魔道士と戦う、女戦士アイリスの活躍を描くファンタジー物語。剣による攻撃が効かない魔道士をどうやって倒すのかがポイント。短編なのであっさり風味です。

風の吹くまま

「闇の祝福」と呼ばれる謎の宗教団体と戦う、光の勇者とその仲間を描くファンタジー物語。「夜を渡るもの」がドラゴンクエスト1作目なら、こちらはドラクエ2といったところ。1体1の戦闘では無く、集団での戦闘を描いています。光と闇、善と悪、その定義に疑問を投げかける敵の存在は面白いです。勇者が勇者らしくないところが、アンチヒロイックファンタジーといったところでしょうか。

姿なきもの

この作品だけが、短編集のなかで異彩を放っています。現代を舞台にしたホラー作品です。ホラー作品は怖がらせれば、理不尽でもOKといった感じなので、私は嫌いです。この作品も理不尽な恐怖を描くだけで、それ以上でもそれ以下でもありません。

O・P・HUNTER

石油が枯渇した近未来を舞台とした、トレジャーハンターものです。石油が枯渇したゆえに、発泡スチロールや化学調味料が貴重品となっている設定が面白いです。なお、O・P・ハンターのO・Pはオイルプロダクツの略です。

内容的にはアクション作品で特段面白いわけではありませんが、この世界観・設定で他の作品が読んでみたいと思いました。

まとめ

全体的に軽いタッチで描かれるバトル小説で、バトルマンガを文章で描いたもの。「スレイヤーズ!」もこんな感じなのかなと思いつつ、今から読むと古い感じがしてしまうのは仕方が無いのかも。多少古くさくても、短編としてオチが効いていれば楽しめるのですが…