【単巻ラノベを読む】『七花、時跳び!―Time‐Travel at the After School(久住四季)』を読んで【読書メモ】

さて、今回も【単巻ラノベを読む】です。先日の「タイム・リープ あしたはきのう」に続いての、時間跳躍ものです。

七花、時跳び!―Time‐Travel at the After School

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著者:久住四季
イラスト:明星 かがよ
文庫:電撃文庫
出版社:メディアワークス
発売日:2010/5

そもそもの発端は、だ。我が後輩の七花いわく、突然タイムトラベラーになったという。可愛い顔して、あなたマジですか!?と言いたいところだが、これがマジだったりするのだ。

過去や未来に自由に跳べるとしたら、どうする?カップメンにお湯を注いで『三分後』に跳んで待たずに食べるとか―え?違う?こんな面白いことはないと、退屈しのぎに彼女と始めた時間旅行は―まぁしょうもないことばかりで。

予告しておく。びっくりしたり呆れたりすることはあっても、歴史を動かすような展開は何にもない。なぜなら、僕が主人公だからだ。

読んだ感想

この作品はかなり前に入手して1度読みかけたのですが、主人公の言動がどうも気に入らなくて読むのをやめてしまいました。人間的に嫌いなタイプだったからなのですが、それが理由で読むのをやめるというのは、私としては大変珍しいことです。読んでいてイライラしてしまったのでした。それ以降ずっと積んでいたのですが、「タイム・リープ あしたはきのう」を読んだ後に、同じタイムトラベルもののこちらをもう1度チャレンジしてみようと思ったのでした。

タイムトラベルものといってもSF的ではなくて、学園ラブコメ、SF(少し不思議)風味といったところ。ある日突然タイムトラベルの能力を手に入れた七花蓮とその先輩 柊和泉が起こす、学園ドタバタ連作短編集です。

主人公は先輩の方で、この男の言動が読んでいて腹が立ちます。おちゃらけているというか、面白ければOK的なタイプの人間。タイムトラベルの能力を手に入れた七花を利用して、どうでも良いようなことを繰り返すわけです。七花もこのような能力がなぜついたのか?悩むわけでもなく、この能力を恐れたりもせず、ひたすら脳天気に先輩のいう通りに行動します。もちろんコメディなのでそれでいいのでしょうが、描かれているギャグやパロディ的なものを含めてあまり面白くありません。

タイムトラベル能力を確認する話、所属する部活誕生秘話、おやつを巡る犯人捜しと話が続きます。この3話目のおやつを巡る話は、さすがミステリーを得意とする作者といったところで、良く出来た話です。テイストとしては好きではありませんが。

3話目を経て「過去も未来もすべて決まった出来事であり、決められたレールの上を走っていくだけ」と無力感にとらわれた主人公が、希望を見いだす4話目「ウインター・タイムマシン・ロックス」がなかなか良かったです。全体としてはラブコメで軽い話ばかりですが、タイムパラドックスに関しては真正面を向いているという印象です。

先日読んだ「タイム・リープ あしたはきのう」が95年の作品で、こちらは2010年の作品です。ジュブナイルSF然としていた「タイム・リープ」に対して、こちらはいかにもライトノベル。「タイム・リープ」の感想に「鹿島翔香かわいい」とは書かれませんが、この作品のレビューに「七花ちゃんかわいい」と書かれるのは、キャラクターの見せ方が変わったのか、受け取る方が変化したのか、などと考えてしまします。そういう意味ではライトノベルは時代を写しているのではないかと。

作者の久住四季さんは、「トリックスターズ」で電撃文庫よりデビュー。「七花、時跳び!」までの作品も、それより後の作品もシリアスなミステリのようです。色々なレビューを読んでいると、どうやら「七花、時跳び!」だけが、この作者らしくない軽い作品とのこと。作家の方もシリアスなものばかり書いていると、たまにはこういうのを書きたくなるのでしょうか。

読んでいて軽い感じの学園ラブコメSFだからなのか、高橋留美子「うる星やつら」が思い浮かびました。あちらも主人公のあたるがひたすらラムちゃんに好かれる話でしたが、こちらも主人公が一方的に愛されているようで、そこが一番のミステリーではないかと思いました。

私の調べた「みんなのオススメ単巻ライトノベル 年代順87選」でも名前が挙がっていた作品ですが、万人にオススメできる作品ではないなと思いました。

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