【90年代単巻ラノベを読む】『絶神久遠(庄司卓)』を読んで【読書メモ】

さて、今回の【90年代単巻ラノベを読む】は、アニメ化もされた「それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ」で有名な庄司卓のデビュー作「絶神久遠」です。

絶神久遠

sty200720-005

著者:庄司卓
イラスト:米村孝一郎
文庫:富士見ファンタジア文庫
出版社:富士見書房
発売日:1992/05

アメリカ合衆国が極秘に開発した特種大型強襲艦「グノーシス」は試験航海の最中にメイン・コンピュータが暴送、艦隊から脱走してしまった。「グノーシス」は「東方の守護者」を倒すため一路、日本を目指していた。アメリカからの連絡を受けた日本政府は「東方の守護者」国に関わる者、「アスライ」に連絡を取った。過去、日本に危機が迫る時、人々を救うために現われる存在であった。その者とは世界的な物理学者であり、タレント学者としても有名な明日来はるかと地方都市で高校の教師をしている明日来かなた、双子の美人姉妹である。どこから見ても普通人にしか見えない二人だが、何ゆえに狙われるのであろうか?新進、庄司卓が送るSFアクション。

読んだ感想

著者の代表作といえば、1993年から始まる「それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ」ですが、こちらはそれより前に発表された作品です。ジャンルでいうと、あらすじにあるようにSFアクション。

はるか昔より争い続ける「絶神」と「滅神」。生物の遺伝子構造の中に隠れている「絶神」の一部であり、半覚醒状態としての存在が久遠。久遠の現実での姿は、タレント学者としても有名な明日来はるかと地方都市で高校の教師をしている明日来かなた、双子の美人姉妹です。この2人が超能力を使って、「滅神」の手先となった特種大型強襲艦グノーシスと戦います。

この特種大型強襲艦グノーシスは、自己啓発型プログラムが搭載されていて、人が操作しなくても作動可能。それを「滅神」に乗っ取られる形ですが、どういう形で乗っ取られたのかは不明。グノーシス自体の形状もよくわからず、戦う相手としては想像しにくいです。

アメリカ軍が破壊出来なかったグノーシスを日本の領土にあるR島におびき寄せて、戦闘することになるのですが、日本の自衛隊などは登場せず、姉妹2人だけを連れて行くという始末。しかも、最終的に姉妹2人の超能力が強すぎて、一応ピンチに追い込まれはしますが、意外と簡単に敵を倒してしまいます。それならグノーシスの存在がわかった時から、力を使っておけば良いのにと思ってしまいます。

92年の作品ですが、それ以上に古くさく感じます。まるで80年代ソノラマ文庫作品のよう。それはアイデア的にうならされるようなところが無いからでしょう。「絶神」と「滅神」の設定がポイントなのかもしれませんが、あまりうまく活かされていません。今回戦った相手が「滅神」の下っ端という設定なので、シリーズ化前提の話なのでしょう。また「東方の守護者」の設定も、久遠の存在を日本人にするためだけのもの。絶対的な力を発揮すれば地球を滅ぼすくらいの力があるなら、東方の守護者などといわず世界の守護者にならないのかなと。

時代的には「風の大陸」などのファンタジー小説全盛期なので、受けなかったのでしょうか、続編は出なかったようです。古い作品でもどこか光るところがあればと思うのですが、今回は残念でした。