【90年代単巻ラノベを読む】『冒険はセーラー服をぬいでから(森奈津子)』を読んで【読書メモ】

さて、久しぶりの【90年代単巻ラノベを読む】は、少女小説でデビューした後、恋愛小説、SF、官能小説、ホラー、児童文学など幅広いジャンルの小説を書いている森奈津子の「冒険はセーラー服をぬいでから」を読んだ感想です。

冒険はセーラー服をぬいでから

sty200819-006

著者:森奈津子
イラスト:霧島SENT
文庫:ログアウト冒険文庫
出版社アスペクト
発売日:1994/5

歴史ある女子校、私立黒百合学園のファンタジー同好会部長山岡千草には、大きな悩みがあった。学園理事長の孫娘、黒田百合子に意味もなく愛されてしまったのだ。いつまでも拒み続ける千草を、百合子はオカルトの秘術で、千草の書いた作品世界へと連れ込む。ファンタジー研究会の葉子や桂、生徒会長の玲子をも巻き込み、千草の作品世界のあらさがしに終始する抱腹絶倒の小説だ。

読んだ感想

森奈津子さんというと、その昔「SFバカ本」というアンソロジーのシリーズで何作か読んだことがありました。エロとギャグ溢れる作家の印象です。森さんは91年に学研のレモン文庫という少女向けのレーベルでデビュー、今回とりあげる作品はレモン文庫以外で出版した初の少女向けではない作品です。どういう経緯かわかりませんが、あとがきによると「女子高生数人が異世界に行って活躍するファンタジー小説を」という依頼を受けて書かれたとのこと。

ファンタジー小説をという依頼を受けて、普通のファンタジー小説を森奈津子が書くわけは無く、主人公が書いた駄作ファンタジー小説の中に入り、ファンタジー小説あるあるを突っ込みまくるというメタ小説的な内容でもあります。

どういう理屈で物語に入ったり戻ったりできるのかはよくわからないし、ストーリーもあってないようなもの。学園理事長の孫娘、黒田百合子はひたすら主人公の山岡千草を自分のものにしようとするだけだし、ファンタジー同好会のメンバーはファンタジー小説あるあるを突っ込むばかり。タイトルは「冒険はセーラー服を脱いでから」と思わせぶりながら、セーラー服を脱ぐことはなく、エロを期待した人には肩透かし。

ファンタジー小説が人気だった90年代前半に、ファンタジー小説にありがちな設定を笑い飛ばすような内容が面白いですね。でも、あとがきが一番面白かったと感じてしまった…

森奈津子ファン以外には、ちょっとオススメしにくい作品かな。