『眠り姫のロード スマイリング!2(土橋 章宏)』を読んで【読書メモ】

今回は読書メモ。またまた自転車小説です。

映画「超高速!参勤交代」の原作・脚本で知られる、土橋章宏さんのロードレース小説「スマイリング!」シリーズ第2弾、「眠り姫のロード スマイリング!2」の感想です。

「スマイリング!」シリーズ第2弾ですが、前作と直接のつながりはありません。今回の舞台は、サイクリストにも人気のしまなみ海道を舞台にした、「ツール・ド・しまなみ」。前作にも登場した、世界的ロードレーサーである、ライトマンから送られた4台のロードバイク。これを使って「ツール・ド・しまなみ U-15大会」に挑戦することに決めた、伯方島の中学に通う3人の中学生、巧海・千佳・啓太。

ロードレースに関しては全く素人の3人をコーチすることになったのは、肝試しの時に墓場で見た、ウエディングドレスを着て寝ていた、若い女性だった!ということで、タイトルにある「眠り姫」とはこの、なぜか墓場でウエディングドレスを着て、寝ていた女性のこと。前作も少々突飛なところがありましたが、今回も最初から飛ばしてくれます。

このコーチは、前作に登場した岩熊の元同僚、ツール・ド・フランスで一緒に戦った仲間でした。ツールでの挫折、恋人との別れから、地域おこし協力隊として、伯方島に来ていたのです。「眠り姫」こと桜井コーチのトレーニングは、科学的。前作とは違い、出だしが突飛なだけで、後はハードなトレーニングから、どんどんと力をつけていく、3人の中学生が丁寧に描かれます。

それぞれ家庭の事情もあり、これからの進路について悩む姿は、多感な時期の中学生をうまく描いています。複雑な事情を持って、なかなか3人と打ち解けない、桜井コーチの過去と絡めて、物語は進んでいきます。

「ツール・ド・しまなみ」では、本格的な自転車部のある、ウィンサム学園中等部のメンバーとの戦いがメインとなります。この有力チームに勝つために、コーチが授けた作戦とは…

今回もレースシーンは短くて、ちょっと物足りなさも残りますが、中学生3人の関係性も含め、楽しむことができます。前作では貧困やネグレクトの問題を扱っていましたが、今回は地方の後継者問題をそれぞれの中学生に絡めさせて、物語に深みを与えています。

ただのロードレース小説ではなく、少年少女の成長小説になっています。前作がライトノベル的・漫画的だったのに対して、本格的な青春ロードレース小説として、読むことができます。

これを読んで「スマイリング!」シリーズは、過去にツール・ド・フランスに挑んだチーム、シルバーソニックのメンバーによる、再挑戦の物語であると感じました。シリーズが続くことを希望しています。

オススメ度:

3
 面白い。楽しめます。

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