眉村卓 角川文庫版ジュブナイルSF まとめ【読書メモ】

さて、今回は50~60代くらいの人には、懐かしいであろう、眉村卓のジュブナイルSFのまとめです。あえて今はもう絶版になっている、角川文庫版でまとめました。一番多くの作品が網羅されているからです。

取りあげたのは、角川文庫で発売された、ショートショートを除く、ジュブナイルSFです。ジュブナイルかどうかの判断は、眉村卓応援サイト「とべクマゴロー」の「眉村 卓 著書リスト【ジュヴナイル】」を参考に、個人的に判断させていただきました。

80年代以降の、集英社から販売されたものは、持っていないので今回は割愛しています。あらすじとしては、文庫のカバー裏に書かれている内容を引用しています。

眉村卓

現在では、2017年11月に放送された「アメトーーク!」で、カズレーザーが大絶賛した「妻に捧げた1778話」の作者として有名か。現在の50~60歳くらいにとっては、中高生の頃の角川映画、薬師丸ひろ子主演「ねらわれた学園」の原作者として、その名を聞いたことがある人も多いと思います。

60~70年代の学年誌(旺文社の「中○時代」「高○時代」、学研の「中○コース」「高○コース」など)に、多数の中高生向きのSFを書いています。これらは当時ジュニアSF・ジュニア小説などと、呼ばれました。現在では、ジュブナイルSF・ジュブナイル小説と呼ぶのが一般的です。

日本SF作家第一世代で、アウトサイダーをメインとしたSFに対し、組織に属する個人を描く、インサイダー文学論を提唱したことでも有名。代表作「司政官シリーズ」で1979年に泉鏡花文学賞、同年と1996年の2度、星雲賞日本長編部門を受賞しています。

なお、昭和38年に東都書房から「燃える傾斜」で、SF作家として最初の単行本を出した作家です。(白い不等式収録の解説、光瀬龍によります)

なぞの転校生

中学二年生の広ー 君のクラスに転校してきた美しい少年。スポーツ万能、成績抜群、 あっという間にクラスの人気を独占してしまった。

だが時折り見せる彼の謎の部分 一雨やジェット機の爆音への度はずれた恐怖。停電の時に 手にしていた超能力のペンライト。そして突然悲痛な声で世界の終末を予言する・・・・・クラス一同の深まる疑惑と不安の中で広一君が握った少年の秘密は・・・・・・ ?

SF界の鬼才、眉村卓が描くジュニア小説の傑作。

1975年と2014年、2度ドラマ化された、眉村卓ジュブナイルSFの名作。角川文庫版では、「なぞの転校生」と「侵された都市」の2編を収録。解説は、手塚治虫。

「侵された都市」は、1960年代から1999年へのタイムスリップもの。1999年の東京は廃墟と化し、バーナード人に支配されていた。運良くレジスタンスに助けられた主人公たちは、元の時代に帰ることが出来るのか…

現在は講談社文庫で出版されていますが、「侵された都市」は未収録。解説は、2014年版ドラマの企画プロデュース・脚本をつとめた岩井俊二。

まぼろしのペンフレンド

誰にでもよくある<へんだな・・・・・・?>と思う一瞬。それが実は、あなたを知らず知らずのうちに、とんでもない事件に引きずり込む前兆であったりするのです。

ある日、中学一年生の明彦に突然舞い込んだ、見知らぬ女の子からの奇妙な手紙ーそこには下手な文章で、“あなたのすべてを詳しく教えて” と書かれ、一万円を同封してあった。好奇心に駆られた彼は、それがこれから日本全国を恐怖のどん底に落しいれる事件の前ぶれとも知らずに、返事を出したのだった。

鬼才、眉村卓の描く、SFスリラーサスペンス、表題作他2篇収録。

今ではペンフレンドという言葉自体、死語になってしまいました。雑誌などを通して、文通相手を探していた時代の話です。1974年にNHK「少年ドラマシリーズ」で、ドラマ化されています。

角川文庫版では、「まぼろしのペンフレンド」「テスト」「時間戦士」の3編を収録。解説は、真鍋博。

近年では講談社青い鳥文庫から出版されていましたが、現在では絶版のようです。ハルキ文庫から出版された「閉ざされた時間割」にも、収録されています。こちらも絶版。

ねらわれた学園

もし、人や物を自由に動かすことができたらー誰しもが夢みる超能力。しかしそれが普通の人間に与えられていないことがどんなに幸福なことかは意外に知られていない・・・・・・。

ある日、おとなしかったはずの少女が突然、生徒会の会長選挙に立候補、鮮やかに当選してしまった。だが会長になった彼女は、魅惑の微笑と恐怖の超能力で学校を支配しはじめた。美しい顔に隠された彼女の真の正体は? 彼女の持つ謎の超能力とは?

平和な学園に訪れた戦慄の日々を描くスリラーの世界! 他に複製人間の恐怖を描いた「0からきた敵」を併録。

1977年 のNHK少年ドラマシリーズの「未来からの挑戦」(ねらわれた学園と地獄の才能が原作)を始め、4度のドラマ化に3度の映画化と、眉村卓ジュブナイルSFを代表する作品。

角川文庫版では、「まぼろしのペンフレンド」「0からきた敵」の2編を収録。解説は、豊田有恒。

現在は講談社文庫と講談社青い鳥文庫から、出版されています。「0からきた敵」は未収録。

地球への遠い道

暗黒の宇宙を飛び続ける一つの宇宙船があった。それには100年以上も前、人口爆発に悩む地球を逃れ、アルファ・ケンタウリ星に移民した人々の子孫が乗っていた。しかし今の彼らは、もはや希望に燃えた開拓者ではなく、異星での生活に敗れて地球へ戻ろうとする人々であった。

だが、長い飛行の末、太陽系に入ったとたんに彼らは、正体不明の宇宙船につかまってしまった。そして彼らの前には、冷たい微笑を浮かべ、重力を自由にあやつる美少女が・・・・・・。

眉村卓の傑作サスペンスSFジュブナイル。他に「さすらいの終幕」を併録。

こちらは学園を舞台にしたSFでは無く、地球への帰還を描くSFらしいSF。

「地球への遠い道」「さすらいの終幕」の2編を収録。解説は無し。現在はどこからも出版されていません。

閉ざされた時間割

この奇妙で恐るべき事件は、中学二年生の良平が珍しく勉強にうち込もうとしている夜に始まった。

はじめ良平は、ベランダに映る無気味な人影を見た。そして翌日、彼のノートにはメモした覚えのないことが書き込まれているのを発見。次には何故か夢遊病のように学内をふらつく先生と生徒を目撃・・・・・・。いったい何が起きたのか? そして魔の手はついに、ガールフレンドや、良平の家族にものびてきた!

人間の乗っ取りを企む借体生物との闘いを描くスリルあふれる眉村卓の傑作SFジュブナイル! 表題作ほか「押しかけ教師」等3篇収録。

カバー裏で思いっきりネタバレが!

角川文庫版では、「閉ざされた時間割」「少女」「月こそわが故郷」「押しかけ教師」の4編を収録。解説は、佐藤忠男。

近年、出版されたハルキ文庫版では、「閉ざされた時間割」「まぼろしのペンフレンド」を収録。現在は絶版のようです。

つくられた明日

“そんな馬鹿なことが・・・・・・”手にした『未来予告』と題された本をめくるうちに、永山誠一は思わず声を出してしまった。そこには、“あなたは10月31日に重大な危険にさらされます”とあり、11月1日以降は空白になっていたのだ。誠一は死を予告されたのだろうか?

奇怪な出来事は次々と起こりはじめていた。先生の交通事故ーこれは予告どうりだった。そして、続いて起きた友人の失踪に、サファリを着た怪盗団の暗躍。11月1日は、日一日と迫りつつあった!

眉村卓の描く、読み出したらやめられない、学園SFサスペンス!

併録、解説無し。現在はどこからも出版されていません。

天才はつくられる

恐るべき天才少年少女のグループがあらわれた! 彼らはテレパシーを修得し、念力で自由に物を動かし、テストでも抜群の成績を修めている。が、彼らは、何か巨大な悪の企みを抱いているらしい・・・・・・。

ある日、ひょんなことから、ちょっぴり超能力を身につけた史郎にも、グループに入るように誘いがきた。そして、断わった史郎に、彼らは命を取ると脅しをかけてきたのだ。史郎は、友人の敬子とともに、天才グループと断固闘う決意を固めたが・・・・・・。

スリルあふれる、学園SFサスペンスの傑作。「ぼくは呼ばない」を併録。

「天才はつくられる」「ぼくは呼ばない」の2編を収録。解説は、矢野徹。現在はどこからも出版されていません。

地獄の才能

助けて!だれか来て! ・・・・続けておきる子供の悲鳴  中学生の俊治が駆けつけてみると、野良犬の群れが子供たちを襲っている。しかもその群れは、訓練された軍隊のように統制がとれ、まるで人間なみの知能を持つ指揮者にひきいられているかのようであった。

そんな折、ものすごすぎて、俊治たちには憎たらしい編入生がクラスに入ってきた。英語はペラペラ、スポーツ万能、まるでスーパーマンのような活躍で、あっという間にクラスのヒーローにのし上がってしまったのだ。が、ある日、俊治は、その編入生のそばに、子供たちを襲ったあの野良犬がいるのを見た・・・・・・。

恐るべき異能力を持つ集団との闘いを描く、SFスリラー!

併録、解説無し。近年では、ぶんか社文庫から出版されていましたが、現在は絶版のようです。

ねじれた町

そんな馬鹿な! 引っ越してきたQ市の迷い込んだ街角で行夫が見たのは、人力車に昔のポスト ・・・、周囲にあるのは何十年も過去に遡ったような光景だった。

それからこのQ市では、奇怪なことばかり起こった。以前、行夫が出したハガキが、明治13年に投函されたことになっていたり、鬼·妖怪が出るという噂が広がったり・・・。しかも奇怪なのは、この町の人々にとっては、それが日常茶飯事になっていることだった・・・。

狂ったこの町で、行夫たちが体験する恐怖の世界。眉村SFジュヴナイルの名作。

併録なし、解説は権田萬治。

近年では、講談社青い鳥文庫から出版されていましたが、現在は絶版のようです。

白い不等式

直也と孝次の二人が気付いたとき、そこは先ほどまで居た倉庫の中ではなく、びっしり と生い茂った森の真只中だった。

そして、二人の前に現われたのは、粗末な衣服を身につけて、弓や日本刀を手にした男たち・・・・・・。ここは恐らく江戸時代だ。そして先ほど倉庫にあった機械は、転送装置だったに違いない・・・・・・。二人は異様で、のっぴきならない世界に飛び込んでしまったことを知った!

異次元で行われる激烈な争いに巻きこまれた二人の少年の冒険を描く、SFスリラー!

併録なし、解説は光瀬龍。現在はどこからも出版されていません。

とらえられたスクールバス

信じられないことが起こった! 得体の知れない少年が乗り込んできて、エンジンをかけた瞬間、信夫たちの乗ったスクールバスは、一気に終戦直後の混乱期に、タイム·スリップしてしまったのだ。

もう元の世界には戻れない! しかもその少年は、いずれ戦国時代を目指すというのだ。戦国時代などへ行けば、全員いつ殺されるかわからない。信夫たちの行く末には、いかなる試練が待っていることか・・・・・・?

時間旅行に巻き込まれた少年少女たちのスリルあふれる冒険、前編。

前・中・後編の3冊で構成されています。1986年のアニメ化の時に「時空の旅人」(ときのたびびと)に、改題されています。

併録、解説無し。現在はどこからも出版されていません。

二十四時間の侵入者

中学校のクラスメート、住野隆一と小沢未代子は、絵画部の写生会へと出かけた。そのとき突然、どこからともなく気色の悪い少年が現れた。少年は憎悪にゆがんだ顔立ちで、目を光らせ、まるで妖怪のようだった。

その日から通学途中を襲ったり、教室まで現れるのだった。やがて、隆一のおじでSF作家の岡本義助もその奇怪な事件に巻き込まれていった・・・・・・。

同じ頃、日本各地でも同じような被害が相次いで起っていた 。一体、謎の少年の正体は何者なのか?どこから来るのだろうか?

傑作推理SF、「二十四時間の侵入者」「闇からきた少女」を収録。

「二十四時間の侵入者」「闇からきた少女」の2編を収録。解説は、竹上純希。現在はどこからも出版されていません。

深夜放送のハプニング

いつものように、人気イラストレーター島浦紀久夫によるDJ番組”ミッドナイト·ジャンプ”がオン·エアーされた。

しかし、その日不思議なリクエストカードが舞い込んでいた。「ぼくがだれだか、教えてください。ぼくには、自分がだれだか、わからないのです。ぼくは、自分が何歳で、何をしていたのか、まったく知りません・・・・・・ 」と書かれていた。このカードを放送したことから、奇怪な事件が相次いで起ったのだった・・・・・・。

甦るミッドナイトSFミステリーの傑作! 同時収録「闇からのゆうわく」

「深夜放送のハプニング」「闇からのゆうわく」の2編を収録。解説は、新戸雅章。現在はどこからも出版されていません。

さいごに

眉村卓の描くジュブナイルSFは、今となってはシンプルすぎて、物足りなく感じるかもしれません。しかし、そこに込められたメッセージは、現在も通用すると思います。

角川文庫版のものは、古書店で3冊100円で売られていたり、ブックオフなどでは100円で売られていたりしますので、気軽に買うことが出来ます。amazonだと、1円で売られていますが、送料で高くなってしまいますね。

文章も読みやすく、サクッと読めるので、時間つぶしにもなりますよ。

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