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オススメ警察小説4冊を、読み比べる!【読書メモ】

さて、今回の読書メモ、警察小説4冊を読み比べてみました。

ここずっと自転車がらみの本ばかり読んでいて、久しくがっつりとした小説が読みたいなと思いました。先日、杉本哲太と古田新太がW主演のテレビドラマ、『今野敏サスペンス 隠蔽捜査~去就~』を見た影響もあって、警察小説が良いなと思いました。

そこで図書館で警察小説を4冊ほど借りることにしました。「隠蔽捜査」はシリーズ4巻までは読んでいて、その後を借りようかとも思ったのですが、新規開拓するのも良いかと思い、ネットで「警察小説 オススメ」であがっているのを、内容を見つつ選んでみました。

警察小説とは

警察小説(けいさつしょうせつ)は推理小説(ミステリー)の一つの形式であり、警察官もしくは刑事、あるいは彼らを含む警察機構や組織の事件・犯罪に対する捜査活動を軸に展開する小説のジャンルである。刑事小説(けいじしょうせつ)、ポリス・プロシーデュラル (Police procedural) とも称される。

近年は特定の主人公を置きつつも、警察の組織的捜査を比較的リアルなタッチで描く作品が多く現れており、これらをもっとも狭義の警察小説と呼ぶこともできる。

Wikipediaより

Wikipediaを見る限り、警察小説は推理小説の中の1ジャンル。テレビドラマで言うところの、刑事物といって良いかもしれません。元々は警察官や刑事を主人公とした、犯人捜しの小説といって良いでしょう。

しかし、最近は警察機構をリアルに描くものも多くて、単純な推理だけでないものが多いようです。冒頭にあげた「隠蔽捜査」も主人公は警察キャリアであり、官僚の駆け引きなども描かれていて、いわゆる単純な刑事物ではありません。

このあたりをどう捉えるかで、警察小説の捉え方も変わってきますが、あまり難しく考えずに、オススメにあったものを今回は選びました。その結果、同じ警察小説と言っても、多彩なものを読むことになりました。

誘拐 五十嵐貴久

誘拐 (双葉文庫)
双葉社
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現職総理大臣の孫が誘拐された。犯人は旅行代理店をやめたばかりの秋月。いわゆる「普通の」男が、なぜ大それた事件を起こしたのか。秋月の要求は政府を混乱の渦に落とし込む。現代ならではの身代金奪取の方法も読みどころのひとつ。“ミスター・エンターテインメント”の名をほしいままにする著者が描く誘拐劇。ベストセラー『交渉人』を凌ぐ面白さ!

五十嵐貴久作品は過去に「TVJ」と「1985年の奇跡」を読んだことがあります。どちらもそれなりに面白く読んだ記憶があります。ホラー・青春もの・推理ものとバラエティにとんだ著作があって、エンターテインメント作家ですね。警察小説としては、ドラマ化された「交渉人」が有名のようですが、今回「誘拐」を借りることにしました。

内容はタイトル通り、誘拐モノです。誘拐犯側と孫を誘拐された総理大臣・警察側の両方から話は進んでいき、いわゆる推理小説のような犯人捜しではありません。誘拐犯と総理大臣のキャラクターに比べると、警察側の人間の描写があまりなくて、警察小説という捉え方はちょっと違うかもしれません。

刑事物に、政治的要素・経済小説的要素を加えて、なかなか楽しませてくれます。最後のドンデン返しも意外でした。ただ、最後の方で、総理大臣が脅迫されて行動にいたる理由が弱くて、ちょっとご都合主義的な展開とも思えました。

ストロベリーナイト 誉田哲也

溜め池近くの植え込みから、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見された。警視庁捜査一課の警部補・姫川玲子は、これが単独の殺人事件で終わらないことに気づく。捜査で浮上した謎の言葉「ストロベリーナイト」が意味するものは?クセ者揃いの刑事たちとともに悪戦苦闘の末、辿り着いたのは、あまりにも衝撃的な事実だった。

誉田哲也というと「疾風ガール」や「武士道シリーズ」の印象が強かったのですが、この「ストロベリーナイト」シリーズや「ジウ」の方が有名なようですね。先日、二階堂ふみ主演で「ストロベリーナイト・サーガ」が始まったばかりで、ちょっと興味があってこれを選択。以前は竹内結子主演で、ドラマ・映画化もされており、名前だけは知っていました。

内容はちょっとグロテスクですね。もう、出だしから。正統派?刑事物で、ドラマ化されたのもよく分かります。過去のトラウマを抱える主人公の姫川玲子や、対立する刑事ガンテツのキャラクターがよく出来ていて楽しめます。ただ、推理ものとしてみたときは、今ひとつでした。

漫画的といって良く、小説よりはドラマの方が楽しめるのかもしれません。

越境捜査 笹本稜平

警視庁捜査一課殺人犯捜査六係から、特別捜査係に異動した鷺沼は、継続捜査の任に着く。14年前に起きた、12億円を詐取した男が失踪後、死体となって発見された未解決事件の捜査に乗り出すが、難航する。真相解明を拒むかのような圧力。それは一体誰が?―警視庁と神奈川県警。組織と個人。悪と正義。さまざまな境界線を“越境”し、真実を抉り出す熱い警察小説。

笹本稜平作品を読むのは初めて。Wikipediaで調べたら、寺島進主演のテレビドラマ「駐在刑事」の原作者でした。この作品も過去にドラマ化されています。

ボリュームのある作品ですが、一気に読んでしまいました。面白い。時効が近づく14年前の殺人事件と、その時に不明となった12億円。警視庁と神奈川県警、二つの組織が複雑に絡み合って、事件の真相は当初、予想が付きませんでした。誰が正義で誰が悪なのか、2転3転していき、最後まで飽きさせません。主人公の特捜刑事・鷺沼や不良刑事の宮野、途中から加わる暴力団幹部の福富のコンビネーションが面白くて、この3人組の物語をもっと読みたくなります。

終盤の黒幕がひとりでやってくる展開に若干の疑問が残りますが、最後は爽快感があり読後感は良いです。これはオススメです。次作も読みたくなりました。

うたう警官 佐々木譲

笑う警官 (ハルキ文庫 さ 9-2)
角川春樹事務所
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札幌市内のアパートで、女性の変死体が発見された。遺体の女性は北海道警察本部生活安全部の水村朝美巡査と判明。容疑者となった交際相手は、同じ本部に所属する津久井巡査部長だった。やがて津久井に対する射殺命令がでてしまう。捜査から外された所轄署の佐伯警部補は、かつて、おとり捜査で組んだことのある津久井の潔白を証明するために有志たちとともに、極秘裡に捜査を始めたのだったが…。

私が読んだ単行本では、「うたう警官」ですが、映画化と文庫化に際し、「笑う警官」に改題されています。「うたう」というのは、自白することを意味する隠語で、警察官の場合には内部の不正などを外部に漏らすこと。意味が分かりづらいと言うことで改題されたようですが、本を読めば「うたう警官」のほうが、タイトルとしてはしっくりきます。

佐々木譲作品は、過去に「疾駆する夢」を読んだことがあります。戦後日本の自動車業界史といった内容で、非常に面白かった記憶があります。社会派エンターテインメント作家ということで、直木賞を始め、数々の賞を受賞されています。

北海道警察で実際にあった、2002年の稲葉事件と2003年の裏金事件をベースに、警察組織の不正や体質に切り込んでいく作品になっています。事件発生から結末まで、1日の出来事であり、展開がスピーディで、ぐいぐいと引き込まれていきます。

最後にこの件は解決するのですが、闇はまだまだ続くといった終わりで、次作に期待を抱かせます。こちらもオススメ。

まとめ

というわけで、今回読んだ4冊の紹介でした。

今回読んだ中で楽しめたのは「越境捜査」と「うたう警官」の2作。「誘拐」はお金を奪う方法に、新しさを感じるものの、疑問を感じるところも。「ストロベリーナイト」はキャラクタードラマとしてみた場合は面白いですが、内容的に深みを感じません。漫画的といって良いかもしれません。

今回読んだもの以外で、読んだことのある警察小説としては、今野敏の「隠蔽捜査」シリーズと乃南アサの「音道貴子」シリーズがあります。「隠蔽捜査」は内容・キャラクターともに面白くて、今回読んだものを含めても、一番のオススメです。「音道貴子」シリーズは、作品ごとに印象が違うのですが、女性刑事の微妙な立ち位置が描かれていて、こちらも良作です。

警察小説といっても、いわゆる刑事ドラマ的なものから、警察内部の不正や体質に切り込むものまで、多種多様なものがあり、それぞれに違った味わいがあります。それらの中から自分に合ったものを選ぶのは、結構難しいかもしれません。今回の内容が、少しでも参考になればと思います。

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