十七歳の自転車北海道一周『サイクル野郎2500キロ 北海道ひとり旅(真尾悦子)』を読んで【読書メモ】

さて、昨日に引き続き「サイクル野郎」ネタですが、今回はノンフィクションです。

amazonで、自転車旅関連の本を探していて見つけたこの本。サイクル野郎のタイトルなのに著者が女性、どういうこっちゃと思いました。表紙に描かれているのも、トッチャン坊や風の男だし。ネットで検索すればすぐにわかる事ですが、詳しく調べずに購入しました。もちろん中古です。

こちらの本の初版は1988年。30年前の本です。そして、描かれているのはさらに前、1981年7月22日から8月20日にかけての、30日間の自転車北海道一周記です。

届いて真っ先に読んだのは、あとがき。(本の一番最後にある、著者がこの本について書いているところです)。それによると著者は作家で、北海道一周した水木伸太郎くんの母の友達とのことでした。旅した本人が書いたわけでは無かったのです。水木くんから聞いた話をまとめたのか、彼の日記を参考にして書いたのか。その辺はわからないですが、まるで本人が書いたかのように、体験やその時の感情・思いが綴られています。

今まで読んだ、日本一周旅行記の中では一番読みやすく、かつ面白く読めました。もしかしたら会話など、創作が混ざっているのかもしれませんが。作家が書くと、旅行記もこれほど面白くなるのだなと。本当に旅している様子が、よく伝わってきます。

読んでいると1981年当時の、北海道事情がよく分かり楽しい。道路事情に関しては、まだまだ舗装されていない道路も多く、砂利道で苦労するシーンもたくさん出てきます。この辺は漫画「サイクル野郎」と同じか。

宿泊はほとんどを、ユースホステルで過ごしています。17歳の少年にとって、ひとりで過ごすより、みんなでワイワイと過ごす事が楽しいようです。ひとりで民宿に泊まったときは、「彼はノイローゼになりそうなくらい人間に飢えてしまった」なんて書かれています。

当時のユースホステル事情も書かれていて、これが結構面白い。羅臼のユースホステルは、ホテルの別館で、ユーレイ屋敷のようなボロさ。じめっと湿った空気にあふれ、お化けでも出るんじゃ無いかと。食事はホテルで食べるのですが、食事の内容は一般のホテル客とは天と地ほどの差が。その腹いせに、食べ放題のご飯を一緒になった4人で、飯びつを2度空っぽにしてしまったり、ホテルのゲームコーナーで遊び倒したりと、結構無茶しています。それでいて、夜はお化けを怖がっているのが、微笑ましいです。

それ以外にも、色々なユースホステルが登場して、楽しませてくれます。漫画「サイクル野郎」でも、描かれていましたが、当時のユースホステルは出会いの場でもありました。マンガみたいな淡い出会いはありませんが、同じように旅する同郷の人との出会いは心が安らいだようです。旅における出会い、特に同じような目的を持った者同士のそれは、わかり合えたり共感したりと、いつの時代も変わりないものです。

それにしても、福島の漁村で育った少年は、15歳の頃からお酒を飲んでいたようで、飲酒するシーンが良く登場します。今だったらけしからんということで、描かれることはないでしょう。斜里のユースホステルでは、ペアレント(施設管理者)がいないことをいいことに、みんなでお酒を飲んで、祭りに繰り出しています。この内容で出版されるとは、おおらかな時代だったんだなぁ、と思いながら読みました。

期待せずに購入した本ですが、予想以上に面白い本でした。これから北海道を旅する人には、参考にはならないので、オススメしません。それよりも過去に自転車で北海道を走った人に読んでもらいたい。自分が周ったときと、この本の内容を照らし合わせると、楽しめます。そしてまた、北海道に行きたくなってしまうわけです。

私がこの本を購入したのは、今年の6月くらいから北海道に行こうと思っているから。すでに北海道は2016年に一周しているのですが、行けていないところに行きたいなと。そのために何か参考になるのでは、と思い購入したのでした。この本を読んで、行きたいと思うところが、何か所か見つけられました。そして北海道に行くときは、この本を持って行こうかなと思ってます。

走行ルートはこんな感じです。