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名前の由来を求めて最北の島へ、山口 理『エリアは北へ―自転車の旅1000キロ』を読んで

さて、今回の読書メモは、小学6年生の男の子が、礼文島目指して自転車で走る物語、児童書「エリアは北へ―自転車の旅1000キロ 」です。

たまたまamazonで見つけたこの本、図書館にありまして借りてみました。

小学校高学年を対象とした児童書なので、大人の私としてはそれほど期待していなかったのですが、これがなかなか面白い。引率する若い叔父と友達二人、計4人での1000キロにわたる自転車旅の話です。

主人公の宮本エリアは小学6年生、この名前がコンプレックス。幼い頃交通事故で父を亡くし、母子家庭で育つ少年です。何故こんな名前をつけたのか、母に聞いても教えてもらえず。ある日、母は自分の名前のルーツを知るために、北海道の礼文島にある久種湖に行けという。しかも、自転車でだ。条件としては、叔父であるゴローと友達二人が同行すること。

叔父のゴローは、母の年の離れた弟で、現在2浪中の浪人生。日本全国を自転車で走り回っていたという。自転車についてのアドバイスや、色々な面倒は彼がみてくれることに。友達二人は、普段よく遊んではいるが、それほど運動が出来るわけでなく、自転車の旅となると不安。最初は迷いがあったものの、自身の名前のルーツが分かるならと、旅を決意。宇都宮を出発し、毎日100kmを走る旅です。

エリアは自己中心的で、何かあってもすぐに人のせいにしてしまう性格。謝りたいと思っても、なかなか素直になれないところも。母の意図がわからずに、不満を抱えつつも旅をします。旅の中で発生するアクシデント、友達二人とのやりとり、旅を続ける中で他者との関わりを通して、エリアは成長していきます。

同行する友達二人は日本最北端宗谷岬がゴール。そこから礼文島久種湖までは、エリアだけの旅になります。はたして久種湖にあったものは…

小学6年生に一日100kmの走行距離は、難しいのではないかと思いつつも、自転車旅の様子はかなりリアリティがあります。たぶん、作者も自転車で旅したことがあるんだろうなと思います。

自転車旅を通して、少年の成長を描いた良作です。現在、自転車を題材とした青春成長小説というと、ロードレースものがばかりです。人と競い合うことだけが成長のきっかけではないと、この本を読み実感しました。自転車旅は良いものです。

走行ルートは、こんな感じです。

なお、山口理さんのデビュー作は、犬吠埼から直江津まで、自転車での日本横断を描く「おーい日本海!―すみ子の自転車日本横断」。次はこれを読みます!

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