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奈良を舞台にした、浅見光彦シリーズを読む【読書メモ】

さて、今回は久々の読書メモ。夏は暑いので出歩くのはやめて、できるだけ家にいようと。そんな中で、以前から興味のあった、内田康夫の浅見光彦シリーズを何作か読んでみました。

 

浅見光彦シリーズ、どれを読んだら良いの?問題

2時間サスペンスドラマでもおなじみの浅見光彦シリーズは、内田康夫による旅情ミステリー小説です。フリールポライターの浅見光彦が取材先で殺人事件に関わり、その謎を解くといったストーリー。

100作を超える人気シリーズであり、どれを読んだらよいの?ということになるわけです。発表順に読むのも良いのですが、これだけの作品数があるなら、出来不出来もあるでしょう。できるだけ面白いと認められているものを読みたいところです。

そこでネットで検索してみるわけですが、これぞ名作!おすすめ!というのがよくわからない。「浅見光彦 おすすめ」の検索で出てくる結果は、「浅見光彦作品を全部読んだ上で、これがオススメ」と言っているわけではないようで、どれも何がどうオススメなのかよくわからなくて、参考になりません。

Amazonのレビューなんかを見ても、どれくらい読んでいる人の評価かわからないので、これも参考にならず。結局、他者の評価を基準に読むというのは、浅見光彦シリーズの場合、難しいのかなと。ドラマを見る限りは、特別なトリックを解く本格推理ではないようですし、どれもわりかし薄めの作品なのかなと。それゆえに作品に濃淡がないのだろうと判断しました。

どれを読んでもそれほど当たり外れがないなら、とりあえず自分の住む奈良が舞台の作品を読んでみようかと。タイトルから奈良が舞台とわかるものもあるのですが、わかりづらいものもあります。そこでこちらのブログを参考にさせてもらいました。

【令和元年版】浅見光彦シリーズのおすすめ本の選び方とドラマ化一覧 - 日常テック

作品の舞台を書いてくださっております。こちらを参考に奈良が舞台になっている作品をチョイスしました。

奈良が舞台の4作品

「天河伝説殺人事件」「平城山を越えた女」「箸墓幻想」「風のなかの櫻香」が奈良を舞台にしているようです。

「天河伝説殺人事件」は映画化もされた作品で、これが最も有名な浅見作品かも。映画は見たことがないのですが、天河神社は興味があって、先日行ってきたばかり。天河神社がどのように描かれているのかも、興味を持ちつつ、まずはこれから読むことに。

天河伝説殺人事件

ボリュームのある作品です。内容は新宿で起こった事件と能の舞台で起こった事件、全く関係がないように見えた事件がつながっていくというもの。新宿の事件で被害者が持っていた「五十鈴」が、奈良県天川村に導いていきます。

登場する奈良の地としては、天河神社のある天川村と吉野山。どちらも能にゆかりのある地です。作中で浅見光彦が車で走る、吉野山から天川村へ抜けるルートといえば、この前走った県道48号を通るなぁと。初出が1988年なので、当時のこのあたりの道はどうだったんだろうなんて、思っちゃいました。いまでも車一台がやっと通れる道なのですが、当時はもっと酷かったのだろうかな。

能の宗家の跡目争いといったある種の下世話さと、奈良の山奥の美しい地、2時間サスペンスドラマにはぴったりな題材です。ネタバレになるので詳しく書きませんが、殺人トリックは途中でわかりますが、その目的が意外でした。なかなか面白いです。映画化されたのも納得の作品です。

平城山を越えた女

平城山と書いて、ならやまと読みます。作品自体よりも、登場するヒロインが魅力的です。今でいうところの仏像ガール。初出が1990年なので、バブル真っ盛りの頃、若い女性が京都・奈良を仏像巡りなんて、時代を先取りしております。

浄瑠璃寺近くの山中で見つかった遺体、誘拐されそうになるヒロイン、昭和18年に盗まれた新薬師寺の「香薬師仏」が絡んできて、物語は進んでいきます。最後の方が浅見光彦の「仮説」ばかりで、ちょっと読者を置き去りのような感じがしました。ミステリーとしては、オススメしづらいかな。

謎解き部分は置いておき、登場するのが浄瑠璃寺や新薬師寺といった、奈良観光でもちょっとマイナーなところ。このあたりのチョイスが良いですね。この小説で浄瑠璃寺や岩船寺のことを知りました。

箸墓幻想

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邪馬台国畿内説とそれをリードする学者の死を絡めて、話は進んでいきます。殺人の手がかりは、残された1通の手紙と1枚の写真。そこから過去の人間関係をたどっていくことになるのですが、うかんでくるのは過去の愛憎、妄執。登場人物が多く人間関係も複雑で、わかりづらいところもありますが、非常に面白く一気に読むことが出来ました。若干後味の悪い終わり方も、気に入っています。今回読んだ4冊の中では、一番面白く感じました。

舞台としては、箸墓古墳、ホケノ山古墳、橿原考古学研究所(作中では畝傍考古学研究所)、そして浅見光彦が宿泊することになる当麻寺。この本を読んで、当麻寺に興味を持ちました。今度ぜひ行ってみたいなと。

2回ドラマ化されているのですが、この内容をどう2時間にまとめたのか見てみたい。

風のなかの櫻香

門跡尼寺である尊宮寺に、養女として迎えられた櫻香(さくらこ)をめぐる不審な動きを、浅見光彦が調べることに。

私が門跡尼寺を知ったのは、上記の「平城山を越えた女」の中でのこと。門跡尼寺は「皇族や貴族といった尊きあたりから出た姫君が、門跡になった尼寺のこと」と作中で浅見光彦が言ってます。なお、門跡は住職のこと。

尊宮寺は奈良の中宮寺をモデルにしています。あまり知られることのない、尼寺が舞台ということで、新鮮な驚きもありました。とくに尼になるための専門学校のようなところがあるなんて、初めて知りました。

一応、殺人事件が起こりますが、それは本筋とあまり関係なく、櫻香の出自をめぐる物語となっています。舞台は奈良の中宮寺と三重県鳥羽。

結局のところ、鳥羽の財閥の跡目争いと関わってくる話になるのですが、ちょっと都合良く話が進むところもあって、物足りなさも残ります。あとがきで著者自身が、尼寺を舞台にミステリーを書くのは、なかなか難しいとも書いております。登場人物も実名を使っていることもあり、あまり残酷なことも出来ないでしょうし、タイトル通りのふわっとした印象の作品になってます。

まとめ

ということで、浅見光彦シリーズ4作品を読んでみました。

やはり推理小説ではなく、旅情ミステリー。殺人トリックを楽しむわけでなく、その地の名所や雰囲気、そしてヒロインとのやりとりを楽しむべきなのでしょう。今回読んだ中では「箸墓幻想」が一番面白く感じました。その次に「天河伝説殺人事件」かな。

西村京太郎作品なんかも同じですが、本として読んで楽しむだけでなくって、取り上げられた地に行ってみるのも楽しいでしょうね。図書館にはたくさんの浅見シリーズがあるので、飽きるまで色々借りてみようかな。

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